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お役所にとらわれない、安定した民間助成金

2012/06/18

今回は毎年4月と10月に特許技術の製品化をテーマとした助成金を公募する新技術開発財団が、東日本大震災の復興支援を目的として同様の主旨で公募する、「復興支援新技術開発助成2012」をご案内します。

新技術開発財団は2010年3月のコラムでお伝えした通りリコー三愛グループの創設者、故市村 清 氏(銀座4丁目交差点に今もある、丸い『三愛ビル』を建てた方です)が私財を投じて創立した基金によって運用されています。

新技術開発財団としての復興支援事業は実は昨夏から行われていて今回が3回目なのです。初回は被爆地域の放射能除染に関する技術、2回目が被災地域の理科教育を支援する事業でした。今回は被災地域が対象とはいえ、年2回の技術開発助成と同じ内容なのでお知らせした次第です。

「新技術開発助成」については年2回の公募があるたびに毎回「採択決定後速やかに助成事金の支払いが行われる珍しい事業」としてお知らせしていますが、今回も事業期間が始まって間もない11月に、助成金が支払われます。

政府が行う助成事業は、法律に基づいて税金を投入する事業であることから、どうしてもその支払いに慎重になりがちであり、いわゆる「領収書と交換」的なタイミングになってしまうのです。

一方、公益財団法人とはいっても民間団体である新技術開発財団は、そもそも原資が税金ではなく、市村氏及びそのご家族が寄贈した基金の運用益であるため、その使い方が「公益」を目的としている以上、誰からも文句を言われる筋合いはないのです。

でも逆に1民間団体が1968年の事業開始以来40数年にわたって中小企業への資金的な支援を継続してきたことは大変なことです。

最近の東北大震災やリーマンショックだけでなく、バブル崩壊や石油ショック等の日本経済の浮沈をすべて乗り越えてきたのは並大抵のことではなかったと思われます。

公開されている財務状況を見ると、数年来の不況に関わらず、毎年8億円程度の安定した運用益が収益の柱となっていることが分かります。

もしあなたが大成功者であり、鬼籍の人となられた後に残る数百億円の資産の使い道について検討されている方であれば、市村氏のような使い方も一考の価値ありと思いますが如何でしょうか?

本記事は2012/06/18時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

蛍火の明滅 滅の深かりき (細見 綾子)

オフィスのある三鷹市には西南の市境に野川という川が流れていて、蛍の生息している一角があるのです。毎年見逃しているので、今年こそはと計画を立てています。