第一関門を突破する申請書の書き方 - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

HOME > コンサルタントの視点 > 第一関門を突破する申請書の書き方

第一関門を突破する申請書の書き方

2014/04/08

今回の助成金解説は昨年10月に取り上げたNEDOの「福祉用具実用化開発推進事業」の続編です。

前回お伝えしたのは、平成5年の福祉用具法に基づいて長期間続いているこの安定した助成金事業には、半年かけてじっくり準備して臨みましょうという内容でした(詳しくは>こちら)。

その半年が過ぎて、現在5月29日締め切りで公募中となっています。今回はこの助成金事業を素材にして、採択されるための最も重要なポイントをお伝えします。この助成金に応募されない方も参考になると思います。

助成金事業というのは、お金を出す政府側にはっきりとした目的があるという特徴があります。そしてその目的は、公募要領に明確に書かれており、申請書の内容がその目的に合致していることが求められます。

申請書では全体を通じていくつかの場所で提案目的の記載が求められますが、もっとも重要なアピール箇所は申請書の表紙に記載する事業の名称とその概要です。この事業で申請書表紙の「1.助成事業の名称」と「2.助成事業の概要」がそれに当たり、各々25字以内、250字以内という制約が付けられています。

ここで公募要領から助成事業そのものの目的を引用すると、「福祉用具の開発を行う企業等に対し助成金を交付することにより、福祉用具の実用化開発を推進し、高齢者、心身障害者及び介護者QOLを向上することを目的とします。」と書かれています。

従って申請書に書く事業の概要では「この開発の目的は、AによってBが行うCを改善する(または向上させる)ことでQOLを高める」という具体的な内容を盛り込むことが不可欠になります。

例を挙げれば「この開発の目的は、やじろべえの原理を応用した特許技術の製品化(A)によって車椅子利用者(B)が自力でのベッドと車椅子との間の移動を可能とする(C)ことであり、これにより車椅子利用者のQOLの向上を実現し、同時に介護者の負担を軽減する」となります。

上記は架空の例ですが、字数が100あまりのため、(A)の説明や製品化による波及効果などもう少し膨らませることが可能です。ただ、大事なことは公募要領に示された事業自体の目的に即した表現で、開発の目的をアピールすることです。

そしてさらに、事業の名称に示す25文字は、事業概要の内容に呼応した端的な表現で事業概要が集約されていることが必要となります。先の例を使えば「自力でベッドからの乗降が可能な車椅子支援装置の開発」(25文字)といったところでしょうか。

このように、申請書に示す目的を助成事業自体の目的に整合させる理由は、審査員の先生が頭に叩き込んでいる審査基準の筆頭に、「申請書に書かれた目標が助成事業の意図と合致しているか?」という評価項目があるためです。

申請書の表紙に書かれた名称と事業概要を一目見た瞬間に、「これは合っている!」と思わせることができればまず第一関門突破です。逆に「違うんじゃないか?」と思われたら、時間がない場合などその後を読んでもらえない可能性もあります。

今回は少しディープな内容になりましたが、他にも採択率をグンと高めるコツがいくつかあります。次の機会にもご説明しますので、公募締切に向けて申請書のブラッシュアップに役立てていただければ幸いです。

本記事は2014/04/08時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

清明の水菜歯ごたへよかりけり (鈴木 真砂女)

これはまた豪快な句です。伝えたい思いは 「ああおいしかった!」のみ。清明という清々しい季節に食べたしゃきしゃきの水菜の触感が文句なしに口に広がります。