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「福祉用具」助成金を取りに行く

2014/08/25

NEDOから「福祉用具実用化開発事業」の公募予告がでました。半年間に1度公募されているこの助成金は、昨年の10月から公募の度に勝手に助成金獲得のためのノウハウをご紹介するネタにさせていただいていますが、今回はその3回目になります。

1回目の昨年10月には「半年かけてじっくり準備」、2回目の今年4月は「第一関門突破のポイント」をテーマにしてきましたが、今回は3回目として「取りに行くための準備」をお伝えします。

※ご参考
1回目:「助成金3000万円で福祉用具分野にチャレンジ
2回目:「第一関門を突破する申請書の書き方

といっても特別なことではなく、色々なところでお伝えしている「公募要領に書かれた評価基準に注目」という事を少し具体的な形での説明となります。現在はまだ公募要領が公開されていないので、前回の公募要領からの引用となりますが、これまでの実績から大きな変更はないでしょう。

「福祉用具実用化開発事業」の場合、評価基準は「審査事項」とされています。

考え方として、審査基準とされている項目は、必ず公募申請書のどこかで説明されていなければならないとの認識が必要です。

という事は、公募要領に目を通した後、申請書の作成に向かう際に、いきなり申請書の頭から書き始めるのではなく、「この基準への回答をどこに書くか」をひとまず検討しなければいけないという事です。

本事業の「審査事項」は大きくa、bのグループに分かれ、小項目では16に及ぶ「基準」が示されていますが、すべてを挙げるわけには行かないので代表例として2つだけ解説します。

まずは、「i. 助成事業を的確に遂行するのに足る技術的能力を有すること。

例えば、本事業の申請書の本文に該当する「助成事業内容等説明書」の冒頭は「1.申請者の概要 (1) 略歴」とされていますが、書き出すにあたって決して自社のパンフレットの沿革をコピーして済まそうなどと考えてはいけません。

例にあげた審査基準「助成事業を的確に遂行するのに足る技術的能力を有すること」が頭に入っていれば、この項目は自社の技術的能力をアピールするのに重要な項目のひとつであることに気付くはずです。

従ってここでは、これまでの自社の事業展開の中で、申請のテーマとなる技術に関してこれまでどのような成果を上げてきたかをしっかり表現してアピールする必要があります。

同時に同じページにある「2. (2) 主任研究者の氏名、職名、所属、略歴及び連絡先」の項目に「略歴」が含まれているのを見逃してはいけません。主任研究員を担当する人が「助成事業を的確に遂行する能力」を十分所有していることを認識して貰う意図をもって「略歴」を記載してください。

2つ目の例は、「vii. 病院や福祉施設等で実証試験を行える体制を有していること。

福祉用具開発に関する独特の審査基準になりますが、これに関して公募申請書の章立てをすべてチェックしても「病院や福祉施設での実証試験」などという項目は見当たりません。なので、この審査基準が頭にないとつい、これに関するどこにも記載をせずに提出してしまう恐れがあります。

もちろん申請書には「3.研究開発の内容等」という章があるので、その中の適切な部分に「病院や福祉施設での実証試験」に関する記載をしっかり書き込むことが必要です。

つまり、申請書の作成に取り掛かる前に各評価基準に関する記載を申請書のどの部分で表現するかについて検討し、その結果をリストにするなどして取りこぼしを防ぐことが重要となります。

公募期間は9月中旬から10月中旬とのことでまだ2ヵ月近く時間があります。まずは前回の公募要領をしっかり読んで、公募開始に備えてください。

本記事は2014/08/25時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

夜をこめて 蟲の清めし暁ぞ (後藤是山)

処暑を過ぎても明け方まで寝苦しい日が続いていますが、早朝に目覚めるとさすがに自宅の周りの虫の音も大きくなってきたようです。虫たちが夜をこめて清めた故の暁といわれると妙に納得してしまいます。