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2015年度中小企業向け補助金の見通し

2014/11/10

人事でもたついた国会情勢のためとも思えませんが、来年度予算や補正予算に関する例年のような補助金・助成金の動きがないので、今回は先日経済産業省から公開された「平成27年度中小企業・小規模事業者政策の概要」から、来年度の経産省補助金の動きを占ってみます。

尚、上記の資料はこれから国会審議に掛けられる、いわば経産省の「要望」なので、このまますべてが通る訳ではありません。ただ、例年の様子をみると、予算が若干削減されることはあっても大枠は審議を通るようです。その前提で、長くならないように目につく動きのみをいくつか選んでご紹介します。

全体の傾向としては予算総額が増えています。昨年度打ち立てた
(1)開廃業率10%に向上
(2)黒字企業の倍増
(3)新たな1万社の海外展開
という3つの柱は維持していますが、石破大臣の「地方創生」が割り込んできたことから枠組みが少し変わってきたようです。

即ち、2011年以降大項目の筆頭に挙げられている被災地の事業者支援は別として、2つ目の大項目に「地域の中小企業・小規模事業者の活性化」が挙げられ、「ふるさと名物応援事業(23億円)」と「中小企業・小規模事業者人材対策事業(20億円)」という2つの新規事業が提案されています。

「地域創生」を前面に出した印象ですが、商工会等への「ふるさと名物応援券のプレミアム分を支援」などということばもみられ、補助金を広く薄くばらまくような事業になると思われます。

ただし、同じ項目に含まれている他の3つの事業(計118億円)は、昨年他の項目で計上されていた予算を横滑りさせており、またこの項目を除けば特に「地域創生」を明確に謳ったものはありません。

つまり、今のところ「地域創生」の動きは、来年度の経産省については「形だけ」であり、昨年来の3つの柱はほぼそのまま踏襲されていると言ってよさそうです。

ではその中で目玉はなにか?目に付くのは、一事業だけで112億円の予算を計上している「革新的ものづくり産業創出連携促進事業」です。これは、ここ10年来続いている「特定ものづくり基盤技術」と同じ路線ですが、来年度から対象を「デザイン」分野に広げるとあります。

これは3本柱の中の「(2)黒字企業の倍増」を目指して、中小・小規模企業の利益率をあげるための事業ということになりますが、昨年度22分野から11分野に整理された「特定ものづくり基盤技術」に「デザイン」が追加され、対象となる企業が増えると考えられます。今後見えてくるその内容に期待しましょう。

とは言え、11月9日付けの読売新聞では「消費税10%回避なら年内衆院解散」などと報じられ、国会審議の見通しはますます難しくなっています。弊社としては今後も情報収集に努め、皆様にお伝えしますのでよろしくお願いします。

本記事は2014/11/10時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

玉の如き 小春日和を授かりし (松本 たかし)

晴れ渡って風はなく、少し冷えてもすがすがしく、澄んだ空気のはてに富士を望む。まさに今日のための句です。