1000万円×3年のロボット開発 - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

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1000万円×3年のロボット開発

2015/08/03

今回は少し珍しい背景の「委託事業」をご紹介します。長くご購読いただいている方はご存じかと思いますが、「委託事業」とは事業実施者側の100%負担で、消費税も支援対象となるため、採択されても自己負担が0円の事業です。

事業名は『平成27年度ロボット産業活性化事業「公募型共同研究開発」』、事業実施者は、東京都立産業技術研究センター(以下都産技研と表示) ロボット事業推進部となっており、事業目的には「都産技研と企業が、分担しながら共同研究開発を促進し、新たなサービス/ビジネスを創出することにより、中小企業がロボット産業へ参入する」としています。

都産技研の事業であれば財源は東京都税ですが、応募資格は「日本国内の中小企業者」であり、全国版の事業です。ただし、タイトルに「公募型共同研究開発」とある通り、採択後は都産技研との間でかなり密度の濃い情報交換が必要かと思われます。

委託金額は上限1000万円で1年期限「短期展開型」と同じく3000万円の3年期限(年間1000万円)「新市場創出型」とされており、「大型」とは言えませんが消費税含めて100%支援されることを考えれば、ロボット事業への参入を検討されている企業には魅力的かと思います。

ただ、都産技研に類する機関は東京都以外にも全国自治体に存在しますが、補助金事業などで検査等を依頼する「再委託先」等として登場することはあっても、産技研自体が補助金事業や委託事業を行うという話はあまり聞きません。

そこで、都産技研に直接電話して色々と聞いてみることにしました。以下は電話でのQ&Aです。

Q:過去に公募を見た覚えがないのですが、失礼ながら今までこの種の委託事業はやられていたのでしょうか?
A:当センターとしては初めての試みです。

Q:公募要領によればオリンピック・パラリンピックの前年の2019年を事業化のターゲットとされているようですが、今年から2019年までの期間限定事業と考えてよいのでしょうか?
A:今回事業の初年度なので、将来の事業計画についてはその成果を見て検討することになりますが、現時点では2019年に事業化を完了し、オリンピック・パラリンピックの場でそのサービスを提供したいと考えています。

Q:総予算額については公開されていませんが、教えていただけますか?
A:今年度の委託事業については1.5億円の予算となっています。

ということで、採択件数の目安は15件程度です。委託事業や補助金事業には実施する側にもそれなりのノウハウの蓄積が必要なので、未経験の都産技研に若干の不安も感じますが、一方でこの業界ではおそらく初めてのチャレンジとなるこの事業からどのような成果が生まれるか、楽しみでもあります。

本記事は2015/08/03時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

炎天のかすみをのぼる山の鳥 (飯田 龍太)

山奥での避暑にあこがれる今日この頃です。この句、「炎天」となっているので肌を指す日差しであることは確かですが、裾野からゆっくり大山をのぼる大型の鳥をはるかに望む景色は、やはり爽やかです。