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新年ご挨拶~平成29年度予算案を読む

2017/01/05

皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、昨年12月22日に平成29年度予算案が閣議決定されたことを受けて、年末に経済産業省から予算案(リンク先:経済産業省Webページ)の詳細が公開されたので眺めてみました。 

資料は数多く提供されていますが、「補助金リスト」的なまとめ方ではないため一目瞭然という訳にはいきません。そこで、従来の流れから見ていくつかの特徴を簡単にお伝えします。

まず全体的な方向性として、昨年来の「未来投資」という旗印を具体化する「第4次産業革命」という概念は来年度も継承されるようです。しかしその重点分野はかなりシフトしています。

「第4次産業革命」については、使われた当初の説明では「IoT、ビッグデータ、ロボット、人工知能(AI)等」とされていました。

因みに現在公募中の平成28年度補正ものづくり補助金における「第4次産業革命型」では補助対象となる設備投資が「IoT・AI・ロボット」とされており、当初の4つから設備投資対象とすることが難しそうな「ビッグデータ」が抜けただけと推測できます。

しかし、平成29年度予算の重点分野の説明では「自動走行、ロボット・ドローン、ものづくり、産業保安、エネルギー分野等」となっており水平移行と絞り込みがみてとれます。

以上の変化を頭において「中小企業・小規模事業者関連予算」に目を移すと、災害復興以外の補助金を集約した「経営力強化・生産性向上に向けた取り組み」285億円の内訳に、ある変化が読み取れます。

予算の半分近くの130億円は確かに「新製品開発・技術開発を通じたイノベーション」=「第4次産業革命」が対象となる「戦略的基盤技術高度化」に充てていますが、「産学官連携で行う研究開発」との説明が強調されており、技術レベルの高い一部の中小企業だけが対象であることは明らかです。

残りの155億円は商工会・商工会議所等を巻き込んだ小規模事業者を中心とした支援のための予算であり、片や平成28年度補正予算である「ものづくり補助金」約760億円による、「第4次産業革命」ではない一般的な設備投資への支援という両輪で経営基盤の強化を図る方針が見えます。

一時、小説「下町ロケット」に象徴されるように「日本の技術を担うのはものづくり中小企業」といわれ、その活性化を目的としたイノベーションを支援する補助金が乱立した時期がありました。

しかし、時が進んで「下町ロケット」を目指せる企業はごく少数であるという実体が明らかとなり、一般の中小企業・小規模事業者には一般的な設備投資や販路拡大への支援といった下支えが必要という、現実にあった予算となりつつあるようです。

以上、経産省予算から見える平成29年度の政策への所感を以って新年のごあいさつに代えさせていただきます。

本年も補助金行政の動きをわかりやすくお伝えしますので、引き続きお読みいただければ幸いです。


本記事は2017/01/05時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。