2020年オリンピック・パラリンピックを視野にロボット開発支援 - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

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2020年オリンピック・パラリンピックを視野にロボット開発支援

2017/11/06

2週続けてロボットネタですが、本日は東京都立産業技術研究センター(都産技研)による、平成29年度ロボット産業活性化事業「公募型共同研究開発 テーマ設定型」を解説します。この事業は昨年も解説しましたが、東京都の予算にも拘らず全国の中小企業が対象です。

ロボット産業活性化事業とは、2015年から2019年までの期間限定で中小企業のロボット産業への参入支援、及び2020年のオリンピック・パラリンピックでの成果の PRを目的としている支援事業ということで、回を追うごとにテーマが絞り込まれていくようです。

例えば昨年度のロボット開発のテーマは、「案内支援」、「産業支援」、「点検支援」、「介護支援」と間口が広かったのですが、今年は「警備ロボット」または「運搬ロボット」に限定されています。開発に必要な時間と残された事業期間を考慮して、テーマを絞り込んでいると思われます。
 
この事業は他にも特徴があって、都産技研管轄の東京ロボット産業支援プラザ(以下、ロボットプラザ)が有する設備と知財を提供しつつ、中小企業を含むコンソーシアムと都産技研との共同開発によってロボットに関する製品開発・技術開発を行うことになっています。

具体的にはロボットプラザが持つ自律移動案内ロボット・運搬ロボット等の基本技術や、移動・会話に関するアプリ等の知財が提供されるほか、ロボットプラザの各種評価設備・安全性評価試験等も利用できるというメリットがあり、製品化期間の短縮が可能です。

一方で応募資格に少々面倒な点もあります。代表応募者となる中小企業が全国区なのは良いとして、大学等と連携した複数の機関による共同体でなければいけないこと。さらにその共同体に実証実験場所を提供する事業者等が含まれていることが条件です。

「実証実験場所を提供する事業者等」とは単なる場所の提供者ではなく、「ロボットを活用して新しいサービスを 提供しようとする者」であって、かつ公募事業終了後、「ロボット導入に際し、投資判断ができる方が含まれていることが望ましい」とあります。

つまり、製品ができてから買い手を探すのではなく、警備ロボットであれば警備事業者、運搬ロボットであれば製造業者など、完成すれば使ってくれる人が共同体に参加していることが、応募の条件とまでは言いませんが採択されるには必要なようです。

というわけで、これから新たにロボット分野に進出したいという方には難関かもしれませんが、利用者が具体的に決まっていて開発費と開発期間が問題という方にはうってつけの支援事業かと思います。

本記事は2017/11/06時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

思ふことかがやいてきし小鳥かな  (石田 郷子)

「思うこと」と「小鳥」の関係は書かれていませんし、あえて言えば偶然の出会いでしょう。でもそれが「意味のある偶然」であることを思わず納得してしまう、ある意味で説明のいらないとても分かりやすい句です。