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先進的IoTプロジェクトに対する官民合同支援事業

2017/11/20

政府系の補助金の正式事業名は一般に長くて辟易しますが、今回のNEDO事業は極め付けの長さです。

「IoT社会の実現に向けたIoT推進部実施事業の周辺技術・関連課題における小規模研究開発」(IoT推進ラボ・経済産業省第5回IoT Lab Selectionとの連携公募)


いくつかの種類の補助金を一つの事業グループにまとめた形で行う場合、事業グループの総称を「  」で表し、(  )を使って個別の事業を指定する使い方が多いのですが、今回は事業主体が異なる2つの事業が連結されていることを示す目的で「  」と(  )を使っています。

と言っても(  )にあるIoT推進ラボという組織は、経産省がNEDOを経由して予算を出し、NEDO自身もそのメンバーに加わっているので、「  」の補助(正確には委託)事業の主体であるNEDOはIoT推進ラボのマネジメントの面でも深くかかわっています。

IoT推進ラボが行う“第5回IoT Lab Selection”への応募者の立場では、この事業は

  • メンターによる伴走型支援(技術、人脈等)
  • 規制改革・標準化等に関する支援
  • NEDO 100%負担の委託事業・他の資金援助

といった多面性のある支援メニューの中で興味のある事業を選んで応募するイベントとなります。

しかしNEDO100%負担の2000万円の委託事業を目的として応募する立場では、“第5回IoT Lab Selection”は委託事業への応募権を獲得するための前哨戦ということになります。従って委託事業に採択されるためには2つの機関の審査を突破することが必要です。

それでは各々の機関の審査に勝ち残るための採択基準を見てみましょう。

まず、“第5回IoT Lab Selection”で勝ち残るための条件として、⑴成長性、⑵波及性(オープン性)、⑶社会性、⑷実現可能性の4つが示されています。

これらをクリアするためには、公募要領に示された要件をよく吟味して申請書上で応えていくことが重要です

さらに、NEDOの委託事業費の審査基準としては、⑸基本計画との適合性、⑹研究開発遂行能力の2つが示されています。両方とも当然の内容と言えばそれまでですが、この2つが特に委託事業の追加条件とされていることを安直にとらえてはいけません。

委託事業とは「本来国の予算で行うことを、採択者に委託して国の代わりに実施する」ものですので、100%の負担を税金で賄うということです。従ってまず申請書では「国が求める成果をどれだけ正確に生み出すのか」をしっかり記述する必要があります。

また委託費の使用については不正な使い方は論外として、事業完了後に行われるNEDOや、場合によっては会計検査員の厳しい検査にも対応可能な体制を有していることもアピールする必要があります。その点NEDOの事業で過去の実績などがあれば有利でしょう。

ということで応募することで事業化計画の精度が高まることに加え、採択された際の大きなブランディング効果も期待できる事業です。IoT関連の事業プランをお持ちの方は、本事業への参加をご検討ください。

本記事は2017/11/20時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

をりとりてはらりとおもきすすきかな  (飯田 蛇笏)

句はリズムとよく言われますが、声に出してみて改めて音のつながりの快感が伝わる句です。すべて平仮名で表した理由が、目で見た字面の効果だけでなく、舌に転がした音のつながりとの相乗効果を考えた工夫であることが、声に出すことで理解できます。