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中小の採択が意外と多い工場・設備整備支援

2022/03/22

今回は、経済産業省の超大型事業「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」の3次公募を案内します。事務局をみずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社に委託しています。

補助金上限額は100億円と高額ですが、これは工場の新設も対象とする事業であるためで、生産拠点の建物と生産設備が共に対象となります。逆にデータセンターやオフィスビルは対象外です。

補助率は中小企業が有利ですが、計算方法は事業対象経費の30億円と100億円で線引きされており、金額が大きくなるほど補助率が低くなる折線型の設計で、少々複雑です。

仮に中小企業が総額30億円の計画で採択されると補助率2/3となり20億円の補助金が受け取れますが、100億円の補助金を受け取るための事業対象経費総額は280億円となり、補助率は35.7%と、前出のケースの半分近くになってしまいます。

この事業は令和2年から毎年春に公募され、今年で3回目になりますが、実は昨年はご紹介しませんでした。中小企業のみを対象とした補助金と重なったともあったのですが、内容が大企業向けと見えたことも理由でした。

この判断は、事業総額が大きくなるほど補助率が低下することからの印象によるものでしたが、間違っていました。2次公募の採択結果が発表された時、予想よりはるかに中小企業の採択件数が多かったのです。今回の3次公募についてはご紹介すべきと考えたのはそのためです。

この補助金、枠としては「事業A」、「事業B」の2つがあり、共に補助金の上限額は100億円ですが、さらに事業Aに付随し、上限を5億円とした「中小企業特例事業」という枠も用意されています。

事業Aは「デジタル(半導体関連、次世代自動車関連、ロボット部品他)関連」または「グリーン(電動車関連、洋上風力発電関連他)関連」の機械製品や部品工場が対象であり、事業Bは抗原検査キット、PCR検査等の医療系製品・部素材の工場が対象です。

この辺りの内容は2次公募でも概ね同じであったため、一般的に提案された事業の効果が大きいほど評価が高いので、応募も採択も数百億円の投資が可能な大企業が中心と考えたのですが、2次公募の採択結果を見るとこの予想は外れたようです。

2次公募では事業Aでは中小企業:大企業の採択数が14件:37件であったのに対し、医療系の事業Bでは中小企業特例枠が無いにもかかわらず、中小企業:大企業=67件:18件と、予想に反して中小企業が採択数の8割近くを占めていたのです。

残念ながら採択者個々の補助金額は公開されていないため、どの程度の金額の案件が採択されたのかはわかりませんが、採択件数合計136でみても中小企業が81件、60%というのはなかなかのものです。

事業A、Bともに評価基準の加点項目に「投資誘発効果」があるものの、特に事業Bでは数百億円規模の投資が可能な中小企業がそれほど多いと思えないことから、事業総額、即ち生産拠点の規模の大きさはそれほど大きく加点はされないと考えられます。

今回の3次公募で事業A、Bの対象となる製品・部資材の詳細を改めて公募要領で確認していただき、これらに関連する製品やその一部を扱っている場合は、是非応募を検討してください。

本記事は2022/03/22時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

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お彼岸のきれいな顔の雀かな (勝又 一秀)

お彼岸の雀の顔がきれいだという。理屈では説明できないのに、例えばお墓参りをした自身の経験を思い出した時、そこに雀がいれば同じ思いを持っても不思議ではないと、妙に納得するのです。