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ビジネスプラン作成に1者1,500万円の支援

2022/07/19

今回は、「地域新成長産業創出促進事業費補助金(地域デジタルイノベーション促進事業)」という、例によってとても長い事業名の補助金をご案内します。後半の副題を含めた事業としては今年度が最初となるようです。

なお、この事業は「非中小企業」、つまり大企業も対象となるのですが、応募条件が中小企業と異なり、組み合せるとあまりにも複雑になるので、本記事では中小企業のみが応募する前提で進めますのでご了承ください。

本事業は、事業運営を外部に委託せずに、経済産業省が直に運営する補助金です。また公募としては今年度の第2次なので、第1次の結果も公開されています。これについては後ほど触れます。

この補助金、公募要領から引用すれば「地域の特性や強みとデジタル技術をかけあわせ(X-Tech)、新たなビジネスモデルの構築を支援」とされており、最近では珍しく、「ビジネスプランの作成」への支援が主な事業内容となります。

アウトプットとして求められるのは2つあって、要約すると次の通りです。設備投資や製品・サービスの開発は求められていないのです。

  1. 地域の特性や強みとデジタル技術をかけあわせた「新たなビジネスモデルの事業設計書」
  2. 構築したビジネスモデルの地域内外の企業等への普及活動
補助金の上限額は、連携体全体で最低でも3,150万円(実証企業群がすべて中小企業の場合)となり、「事業設計書」というドキュメントの作成と講演会などの普及活動だけの費用としてはかなりのことができそうですが、応募の条件が少々厄介に見えます。

まず補助事業者である「実証企業」が中小企業の場合は複数という条件があります。さらにそれ以外のメンバーとしてデジタル企業(ITベンダー・Tech系ベンチャー等)、および「協力団体等」(金融機関、認定支援機関)が各々1者以上参加することが必須条件とされています。

つまり連携体としては、少なくとも「実証企業群」2者を含む4者の参加が必要となります。公募の締切日、8月19日までひと月しかないので、これだけの体制を作り上げるのは難しい、と思われるかもしれません。

同じ条件で公募された第1次公募でも、公募期間が2月24日から3月29日のひと月少々しかありませんでした。そこで採択結果を確認したところ、応募数23件、採択数12件とのこと。

事業再構築補助金やIT導入補助金など他と比べてやはり圧倒的に応募者が少なかったようです。「やはりひと月程度の間に4者もの連携体を構築するのは無理」と思われたかも知れませんが、ちょっと待ってください。

まず、「実証企業群」だけであればすぐに集まるのではないでしょうか?たとえば、大手メーカーの下請け仲間の間で、日ごろからエンドユーザーに直接届ける新製品の開発について相談していたとすれば、それだけ「実証企業群」は構成できます。

次に「デジタル企業」ですが、こちらはあまり詳しい定義がされていないものの、例えばIT導入補助金で登録されているITベンダーであれば該当すると考えられます。その気になればIT導入補助金のサイトに設けられた検索ツールですぐ見つかるでしょう。

最後に「協力団体」ですが、もし「実証企業群」2社のどちらかが事業再構築補助金への応募経験があれば、申請の段階で認定支援機関または金融機関との関係ができているはずで、こちらも協力してもらうのは容易かと思います。

事業のもととなるアイデアさえあれば、ITや資金調達の専門家によるコンサルティング費用、市場調査費、試作品製作費、人件費など、事業を立ち上げるために必要な多様な費用がこの事業で補填されます。新規事業のスタートには絶好の機会ではないでしょうか?

本記事は2022/07/19時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

幹高く大緑陰を支へたり (松本 たかし)

この作者にはシンプルに大景を描く句が多く、強く惹かれるのですが、この句もあふれるほどに緑の葉を広げた大樹を描き切って見事です。この樹の根元に寝ころべば、炎暑の日でも涼しいでしょう。