総額9000万円堅持の助成金、「サポイン」
日食のような予定通りの宇宙の運行と異なり、政府の助成事業は概ね3~5年の期間で景気の流れの影響で縮小された消滅したりすることが多いのです。
でも、平成18年度に始まり、今年で7年目となる「戦略的基盤技術高度化支援事業」(サポイン)は今年度も堅実に予算枠を維持したようです。
リーマンショックで露わになった金融サービスの脆弱性や、東日本大震災によるサプライチェーンの寸断で日本経済が受けた大打撃を経験して、「やはりものづくりが大事」との認識が強まっていることと関係しているかと思います。
今回サポインでは新たに「冷凍空調」と「塗装」に係る技術が追加され、対象技術分野が22となりました。
内容を見ると「冷凍空調」は対象となる川下産業が食品に限られ(人間様用の『空調』は対象外)、珍しく一つしかありません。
逆に「塗装」は鉄道・航空機から道路、ついには医療・介護に至る13もの川下産業が対象となっておりこちらは極端に広いので面白い対比となっています。
ところでこの「川下産業」、そしてその逆の「川上産業」ということばは、製造業に直接関わってそうでない方は「何を基準に上と下を決めているのか?」と疑問を持つ方がいると思います。
なので、以下はこの川上・川下に関するプチ講座です。
鉄や原油などの素材や原料が川上、自動車や電気製品などの製品生産が川下ときいて、若い方から「逆ではないですか?」と聞かれたことがあります。
確かに最終消費者が使う製品を「下支えしている」材料部品や素材の提供「がなぜ川上?」という感覚は理解できます。
これには少し歴史的な意味があるようです。明治以来の近代化から敗戦後の復興まで、鉄や石炭・石油の生産は、国家予算でなければ対応できない大規模な設備投資が必要でした。
これらは鉄道や造船などの基幹産業、特に戦前は軍事力強化のための、官主導の国家戦略的基盤事業として位置づけられていました。
つまり、官の主導によって生産された素材を民間企業が加工・組立・流通させて下々の最終消費者に届くまでの過程を川の流れにたとえて「川上・川下」と言われるようになったのです。もちろんこの言い方は昔ながらの「お上」意識が関係しているでしょう。
しかし1980年代、バブルに向かう頃から、最終消費者のリアルな需要を握るスーパー量販店などの小売業や自動車メーカーや家電メーカーなどの「川下産業」が逆に経済を主導することとなりました。
一方かつての「重厚長大」産業は国際競争力を弱めるばかりという状況になり、バブル崩壊後はこの流れがさらに加速され、「消費者は神様」という意識が定着して消費者を最上位とするイメージが浸透してきています。
これが「川上・川下」であらわされる旧来の図式と感覚が合わない理由ではないかと思います。
さて、大規模な生産設備をもつ「川下」の大企業を支える「基盤技術の高度化」を支援するサポインに、今回こそはと準備万端の方。該当する技術指針の最新版でマイナーチェンジの有無を確認して、申請書の作成に注力してください。
季節の俳句
五月雨の 降りのこしてや 光堂 (松尾 芭蕉)
光堂とはもちろん中尊寺の金色堂のことです。実は私はまだ行ったことがありません。昨年お誘いがあったのですが、残念ながらスケジュールが合わず悔しい思いをしました。 でも、今や金色堂はお堂ごとりっぱな建物の中に守られておわすとのことですが、いまのところ私の光堂は芭蕉のころのまま、五月雨に濡れています。
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