2400万円に強化「新技術開発助成」
今回はこれまで何度かご紹介した人気の補助金「新技術開発助成」がリニューアルされたのでご紹介します。
リニューアルと言っても助成の目的は、特許技術の実用化を目的にした開発試作を対象としている点や、人気の元である「助成金は助成開始時に行う助成金贈呈式で贈呈」という前払いの仕組みなどの点はそのまま維持されています。
特に助成金の前払いは、資金繰りに苦労する中小企業には大変な魅力です。原資が税金なので、どうしても後払いとなる官公庁系の助成金・補助金と比べて資金調達の苦労が殆どありません。
さらに今回、
1)助成金額が2000万円から 2400万円 にアップ
2)助成率が2/3から4/5 に改訂
の2点が変更され、その魅力はますます高まりました。
この2つの変更は、実は見た目の数字以上に大きいのです。その理由は消費税に有ります。
少し詳しくなりますが、官公庁が行う助成金・補助金を算出の際、事業経費を支払う際に含まれる消費税は対象となりません。補助金は原資が税金なので、消費税を税金で賄うことはできないという理屈です。
ところが民間機関である新技術開発事業団が行うこの事業の原資は、税金で無く民間資金です。従って事業経費に含まれる消費税を補填しても不都合はなく、従来から消費税を含めた経費を助成対象としています。
この効果の大きさを、簡単に試算してみましょう。まず 税込2400万円 の満額が貰える場合の事業総額を計算してみます。
事業費総額 2400万円÷4/5=3000万円(税込)
ところが同じ事業総額 税込み3000万円の事業を、例えば経産省の補助率2/3の事業で行った場合に支払われる補助金額は
3000万円÷1.08×2/3=1851万円
となり、その差額549万円は補助率の違い(4/5と2/3)による差額400万円と比べて 約1.5倍 も大きくなります。
というわけで助成金の前払いに加えてますます有利となった新技術開発助成は、今回さらに人気が出て倍率が高まるかと思います。そうなってくると応募申請書のクオリティーが何より重要になります。
応募申請書のクオリティーを高めるためには、ただ提案する技術の優秀性をアピールするだけではなく、多くの視点から成る審査員の期待にしっかり応えることが重要となります。
申請書とは申請者側の思いを述べる提案書ではなく、審査員からの問いかけに答えるコミュニケーションツールなのです。では審査員の期待とはどこに示されているのか?それは「公募要領」と「助成申請書記入要領」です。
どちらも公募のホームページからダウンロードできますが、新技術開発助成の場合 「助成申請書記入要領」が特に重要です。じっくり読みとって、しっかりコミュニケーションしてください。
季節の俳句
快晴の白露の一日授かりぬ (稲畑 汀子)
まだまだ残暑にうだっている東京では、この句のように涼風で目覚めるような朝を「授かる」にはあと少しの日々が必要なようです。待ち遠しいものです。
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