ベンチャー育成で日本再興
今回は前回に続きNEDOから公募中の「研究開発型ベンチャー支援事業/企業間連携スタートアップに対する事業化支援(以下「SCA事業化支援」という)」を中心に、政府が進める「日本再興戦略」(リンク先:首相官邸ウェブページ)におけるベンチャー育成支援の全体像について解説します。
まず「SCA事業化支援」のSCAとはNEDOが今年から使い始めた用語で「Startups in Corporate Alliance=事業会社と連携して技術開発を行う研究開発型ベンチャー」の略語です。詳しくは後ほど説明します。
これはNEDOが「日本再興戦略」の推進役として3年前にベンチャー育成事業を始めて以来、支援対象を特定するために定義したSUI、STSに次ぐ3つ目の略語で、毎年次々と生み出される「NEDO略語」で中々わかり難い状況になっています。
そこで今回はこれらの用語を整理してみましょう。
SUI=Start Up Innovator意味は「研究開発型ベンチャーの起業を目指す起業家候補人材」。
平成26年度から事業開始。毎年度公募を行っており、採択実績は26年度14件、27年度10件。SUIに対して3500万円×2年間の支援(委託事業)を行います。
併せてNEDOが別途公募した事業化支援人材がビジネスプラン策定や資金調達に関する支援を提供します。
STS=Seed-stage Technology-based Startups 意味は「ベンチャーキャピタル等(VC)と連携した研究開発型ベンチャー」。
平成27年度から始まり、平成27年度の採択実績は17件。NEDOが公募して認定したVCが出資する研究開発型ベンチャー「STS」に対して、2年間で7000万円、助成率85%の支援(助成事業)を行います。
SCA=Startups in Corporate Alliance 意味は「事業会社と共同研究を行う研究開発型ベンチャー」。
今年度から始まった新事業で、既存の事業会社と共同研究開発契約を結ぶベンチャー「SCA」に対して、2年間で7000万円、助成率2/3の支援(助成事業)を行います。
以上の説明は今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」改訂 2016を受けて、同9月に改訂されたNEDOの「研究開発型ベンチャー支援事業」基本計画で改めて整理された内容であり、事業開始後の3年間に4回の改訂を経てやっと全体の整理がついたという印象です。
さらに今回の「SCA事業化支援」では、「ベンチャー・エコシステム」という新たな概念も示されました。またも新語が登場し、若干辟易しますが、SUI、STS、SCAに該当する各研究開発ベンチャーを並行して支援することで、平成30年までに、ベンチャーが自然発生的に連読して生み出される「ベンチャー・エコシステムの構築」を行う、と言うのです。
ということで、改めて整理すると、
1.「個人単位で持っている特許等のシーズでベンチャーを興したい人」であるSUI
2.「VC等が、自社で出資しているベンチャーを支援してほしい場合」はSTS
3.「大手企業等が共同研究を行いたいベンチャーを支援してほしい場合」はSCA
を対象とした3つの「研究開発型ベンチャー支援事業」が出そろいました。今回のSCA支援事業公募に加え、SUIとSTSの支援事業も来年確実に実施されるので、もし貴社に適した事業があれば応募の準備を始めてください。
季節の俳句
山々の 稜線の色 秋深し (志村 万香)
我が家近辺から富士山や奥多摩方面の山々の稜線が見えるポイントはごくわずかで、見える季節も秋から冬にかけての快晴の日に限られるため目にする機会は稀ですが、それだけに最初に目にしたときは深秋を感じます。その日も間もなくでしょう。
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