専門家のアドバイスを受けて海外進出に挑む
今回ご紹介するのは「平成29年度海外ビジネス戦略推進支援事業」です。
実施機関は独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)。中小企業庁とのかかわりが深いこの組織の特徴が、今回の事業では大事な鍵になります。
事業自体は投資型と輸出型の二つのタイプに分かれていて、補助金の上限額は前者が140万円、後者が50万円、補助率がともに1/2と、正直言ってこれだけでは魅力があるとは言えない事業です。
しかも公募要領を読み進んでいくと、支援内容の説明の下に「中小機構が支援を行うに際しての必要経費の一部を補助するものであり、補助金額を給付する制度ではありませんので御注意ください。」と書かれています。
そうなのです。この事業は海外進出には避けて通れない現地側の環境やマーケット状況の調査を中小機構が誇る海外の状況に詳しい専門家が無償でサポートし、さらに申請者の調査活動に必要な経費の1/2を中小機構が負担するというスキームなのです。
応募する立場としては進出予定先の現地調査のためにその国の専門家を斡旋してもらい、しかもその専門家の旅費やコンサルティング費用を中小機構が負担してくれるうえに、自身の経費の1/2を支援してもらうという形です。
これは担当していただく専門家のクオリティーさえ高ければ、とても素晴らしい支援事業ではないかと思います。で、問題は一に掛って[専門家のクオリティー]ということになります。応募して専門家を紹介してもらっても、「使えない」専門家では困りますね。
ただ、宣伝するわけではありませんが、私がこれまで何件かの中小機構に係わるご支援をした経験では、その多くが専門分野の豊富な経験を持つ大企業のOBの方々で、有能なばかりでなく、その分野に関連した生きた人脈を持った方々が多いです。
例えば、海外進出の支援であれば、対象となる国で長年勤務した経験がある商社のOBなどで、その国に今でも情報ルートを持っていらっしゃるような頼もしい「専門家」などです。
とはいっても、すべての地域の専門家が網羅されていることはないでしょうし、相手との相性というものもありますので、どんな専門家が紹介されるのかについては不安が残るかもしれません。もし事前に逢えたらありがたいですね。
そこである近場の中小機構に事前相談が可能かどうか聞いてみました。回答は「申請書の校正を依頼されても対応できないが、事業概要を説明してもらえばどのような支援が可能かお伝えできます」というものでした。
これは使わない手はないと思います。あなたの会社の住所を担当する中小機構に早速電話して「〇〇国に進出する予定があるので伺って相談したい。できればご担当の専門家の方にもお会いしたい」とお願いしてみてください。運が良ければ事前面談が可能となります。
季節の俳句
春分の日をやはらかくひとりかな (山田 みずえ)
春分の日はまだ少し先ですが、この句に惹かれたのはまず春の暖かさを待つ気持ち。もう一つは、やわらかい春の日のぬくもりに、一人で包まれる孤独のなつかしさへの共感です。
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