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ものづくり補助金 次回以降は何が変わる?

2022/12/26

令和4年度第2次補正予算における「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)」、つまり来年の14次締切以降のメニューの一部がかなり変更になるようです。12月12日に公開された「ものづくり・商業・サービス補助金令和4年度2次補正予算関連」という概要説明資料に基づいて、その内容を見ていきましょう。

まず事業の構成を見ると、これまで【一般型】と【グローバル展開型】の二つに大きく分けられていた【型】を解消し、〈通常枠〉〈回復型賃上げ・雇用拡大枠〉〈デジタル枠〉〈グリーン枠〉と同列に〈グローバル展開枠〉を並べた形となりすっきりした構成となりました。

この変更などはこれ以上の説明は不要ですが、以上の枠のうち、注目すべきは14次締切以降に変更となる〈グリーン枠〉と〈グローバル展開枠〉です。

まず〈グリーン枠〉について。「温室効果ガスの排出削減に資する革新的な製品・サービス開発又は炭素生産性向上を伴う生産プロセス・サービス提供方法の改善」という目的は14次締切以降も変わりませんが、温室効果ガス(GHG)削減効果に応じてメニューを3つに拡充するとのこと。

3つのメニューとその要件を以下に示します。

  1. エントリー:GHG排出削減の取組未実施又は初歩的な取組でも可
  2. スタンダード:GHG排出削減に係る高度な取組を実施していること
  3. アドバンスト:2.に加え、経済産業省主導のGX推進プログラムで実績があること

これらの要件は補助金の上限に連動しており、従業員が21人以上の企業の場合、エントリー:1,250万円、スタンダード:2,000万円、アドバンスト:4,000万円となっています。補助率はすべて2/3なので、アドバンストなどではほとんど事業再構築補助金の通常枠の規模に匹敵します。

ところで「3.」の経済産業省主導のプログラムについては説明が必要かと思います。公開資料に示されているのは、まず省エネ法の定期報告でS評価であること、または過去3年以内に省エネ診断等を受診していること、あるいはGXリーグに参加していること、となっています。

GXリーグとは、一言でいえば2050年カーボンニュートラルを目指して、世界にも通用する排出量取引のもととなる、GX貢献度評価システムの構築と、その評価に基づくGX投資の促進に賛同する企業群のことです。

GXリーグのウェブサイトでは、11月30日の時点で599社がメンバーとして公開されており、現在も公募期間中です。即ちGXリーグから見れば、「ものづくり補助金〈グリーン枠〉」はメンバー確保のための一つのプロモーションであるといえます。

また、もう一つ変化があった〈グローバル展開枠〉について簡単に触れておきます。変更されたのは、「海外市場開拓(JAPANブランド)」という類型において「広告宣伝・販促費」が経費対象となったことと、1000万円から100万円に引き下げられた補助金の下限額です。

こちらは、やはり経済産業省が推進している「新規輸出中小企業1万者支援プログラム」を推進するためのプロモーションとして「ものづくり補助金」を活用する目的があること、および使い勝手を良くする目的で補助金下限額を引き下げたことを、公開資料に明記しています。

政府や自治体の補助金はそもそも自身の政策目標の実現を促進することを目的としていますが、ものづくり補助金の変遷を見ていると、いくつもの政策目標を重層的に一つの補助事業に折り込んできている様子がわかります。おそらくその方が予算を通しやすいのではないかと想像します。

応募する側としては、補助金を出す側の意図に従順すぎると採択後に苦しくなることも考えられるので、あくまでも自社の経営目標の実現を事業計画のベースとして、その取組に有効な補助事業を精選するという構えが重要です。

本記事は2022/12/26時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

数え日の数えるほどもなくなりぬ (鷹羽 狩行)

今年はなぜか年末ぎりぎりまで忙しく、年賀状もこれからです。まさに年内は数えるほども残らぬ日付となってしましました。来年こそぜひもう少し余裕のある働き方を身に着けたいものです。