スマホアプリ開発も対象のデジタル・ディバイド解消技術開発支援 - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

HOME > コンサルタントの視点 > スマホアプリ開発も対象のデジタル・ディバイド解消技術開発支援

スマホアプリ開発も対象のデジタル・ディバイド解消技術開発支援

2023/03/20

今回は久しぶりに総務省の補助金をご紹介します。事業名は「令和5年度 情報通信利用促進支援事業費補助金(デジタル・ディバイド解消に向けた技術等研究開発)」と、これも随分と長い名称ですが、高齢者・障害者のデジタル・ディバイドを解消する技術が主な支援対象とのこと。

応募要領には、補助対象となる具体的な研究開発のかなり詳しい例が列記されていて参考になります。弊社補助金の紹介ページにもそのまま引用しましたが、少し大胆にまとめると以下のような研究開発を対象としているようです。

  • 障害者や高齢者がスマートホン、タブレット、PC、家電などの身近な機器を、きめ細かく対応する代替福祉機器とする通信・放送技術
  • 魅力的な福祉機器を健常者にも利用できるようにする技術研究や災害時の情報取得技術研究
  • 障害者や高齢者の情報アクセシビリティを確保し、より円滑な情報の利用を可能とする情報通信機器の研究開発

このように見ていくと、応募する内容はハードウエアの開発よりもスマホやPCなどに搭載して使うアプリの開発などが多くなると考えられます。従って、スマホにダウンロードして利用するアプリも補助対象となるでしょう。これは、例えば経済産業省などの補助事業と比べると総務省の特徴が出ているように思われます。

なお、応募要領では事業期間が最長3年、補助金上限額は直接経費3,000万円(身体障害者等支援研究開発に該当するものは4,000万円)および間接経費とされていますが、3年間の総額か否かについては記載がないので担当部署に電話したところ、どちらも年額とのことでした。

補助率は1/2なので、事業費総額は6,000万円/年(又は8,000万円/年)となり、かなりの金額です。3年計画の事業として採択されても年度ごとに「評価会」による審査がありますが、事業全体の総額を考えると直接経費だけでもかなりの高額補助金といえるでしょう。

ついでに間接経費についても総務省の特徴が出ているので簡単に説明します。一般的には「直接経費の10%」などの計算で算出することが多いですが、本事業では申請者の決算書に基づいて算出することになっています。

例えば、民間企業の場合、前期決算書の会計情報から下記の式で算出せよと応募要領に示されています。

間接経費率(%)={(販売費及び一般管理費)-(販売費)}÷(売上原価)×100
ただし上限は直接経費の30%

ご理解の通り、企業の規模が小さいほど年による変動が大きくなることが多いので、間接経費の上限額はかなり大きく変化する可能性があります。応募する際は早い段階で前年度の決算書から間接経費率を算出しておいた方が良いでしょう。

本事業は、中小企業限定ではないためか補助率が一律1/2となり、中小企業にとっては魅力が劣るかもしれませんが、内容的には通信・IT系の中小企業に向いているのではないかと思います。事業分野が適合するのであればぜひご検討ください。

本記事は2023/03/20時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

初蝶を追うまなざしに加わりぬ (稲畑 汀子)

前回に続き汀子の句です。どうも春はこの作者に惹かれる句が多くなります。蝶を掲げながらそれを見やる人々へ、またその人々に共感する自分へと、十七文字の中で軽々と主体が変わっていく技は見事です。