補助金は返済すべき? - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

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補助金は返済すべき?

2024/07/25

コンサルタントの淡河です。大暑ということで東京では異常な猛暑が続いています。この時期は毎年補助金の公募が少ない、いわゆる夏枯れの季節でもあります。そこでこの機会を利用して、昨年11月に続き、皆さんの関心が高い「補助金返済」の現状を改めてご説明しましょう。

正直者は「返さなくて良い」は過去の話

補助金返済は必要か以前は補助金のひとつの側面を「返さなくて良い」で説明できました。しかし、ここ数年はそれほど単純ではなくなってきました。

例えば、コロナ禍前の2019年6月公募のものづくり補助金。この時に示された補助金返還の理由はただ一つ、申請上の虚偽記載を含めた「法律違反」のみでした。したがって、たとえ「事業計画が予定通り進まなくとも、嘘さえつかなければ返さなくて良い」ものでした。

しかし、この後から少しずつ、補助金採択や審査時の加点において、「従業員の給与総額増加」等の条件が加わってきます。そしてこの条件には、事業計画通りにいかない場合、補助金の一部を返還するルールが織り込まれるようになったのです。

この状況は現在も拡大されつつあります。したがって、今は「返さなくて良い?」への回答は「基本的には法律順守でOKですが、この部分だけはご注意ください」などと少しややこしくなりました。

「補助金返済」条件のあいまいさ

事業計画とはいえ、現在の補助金で見受けられる補助金返還条件は「給与計画未達で即返還」というほど明快ではありません。

例えば最新のものづくり補助金では、給与総額や最低賃金の計画が未達の場合、返還義務があります。ですが、「天災など事業者の責めに負わない理由がある場合」などのほか、多くの例外があります。

補助金に応募するご計画がある方は、公募要領が公開された際に、給与総額や最低賃金の上昇計画等の未達が補助金の一部返還条件となっていないか、まずは確認してください。

公募要領において「返還」で検索すると該当部分を見つけることが容易でしょう。

本記事は2024/07/25時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

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頂きに神を祀りて山滴る (高橋 悦男)

あまりに暑いので、一瞬涼風を感じるような句を選びました。季語とは良くしたもので、「山したたる」だけでも涼しそうです。