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変わり種、総務省のICTスタートアップ支援

2025/02/18

ICTスタートアップ支援 コンサルタントの淡河です。今回は少し毛色を変えて、総務省のスタートアップ支援事業をご紹介します。

事業名は「スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業」。やはり長めです。総務省としては「ICTスタートアップリーグ」という呼称も使っています。

岸田政権下の令和4年11月に打ち出された「スタートアップ育成5か年計画」の一環で、ICT分野の研究開発の支援を目的として令和5年度から始まりました。

2種のスタートアップ支援タイプ

支援のタイプは2つに分かれています。

  • 【Support 1】(上限:300万円)
    事業化に向けた技術の概念実証(POC)、実現可能性調査(Feasibility Study)を支援

  • 【Support 2】(上限:2,000万円)
    事業の確立、拡大を目指し、技術の事業化、事業計画のブラッシュアップ等を支援

この総務省の事業は経済産業省が中心の中小企業向け補助金と比べ、いくつか変わったところがあります。

幅広い応募対象、魅力的な補助率

どちらのタイプも応募対象が、起業を目指す個人またはグループ及び法人と間口が広い。

そして、個人と法人に差をつけず、研究開発のフェーズのみで上限額を選べるというのは珍しいでしょう。

また、なんと、補助率は100%。これも魅力的です。過去2回の公募の採択倍率が8.5倍(応募347/採択41)、17.4倍(応募383/採択22)と、大変な競争率になったのも理解できます。

「推薦」応募あり

応募対象者は前述の通り個人またはグループ及び法人の3種類で、応募の際は、応募サイトのトップに配された応募ボタンを押下して手続きに進みます。

ところが、この3種に加え、4つ目に「推薦」のボタンがあるのです。

この場合、応募申請書を作成するのは応募者ではなく推薦者になります。さすがにこの方法は他の補助金では見たことがありません。

自由な事業提案

自由な事業提案自分(自社)で応募する場合、応募時に登録するものは、まず、基本情報。必須情報として社名等を直接申請フォームから入力するものです。これに加え、電子ファイルで作成する「事業提案資料」「予算計画」の2つのファイルが求められます。

ただしこの中で様式が規定されているのは「予算計画」のみです。

「事業提案資料」については、内容として事業プラン、市場ニーズや、技術的特徴といった10項目が示されているのみ。これらの項目を含めて「実現を目指すビジョンとその道筋」を記載せよと指示されています。

枚数が15枚程度との指定はあるものの、注意書きや表現内容へのコメントなど一切ない自由様式です。

多様なPRメディア

上記の必須項目の他に、「プレゼンテーション動画」及び「その他補足情報」が任意で提出可能です。

「プレゼンテーション動画」については「必須ではありませんが推奨いたします」とのコメントが記されているので、採択を狙うのであれば必ず提出すべきでしょう。

こちらはクラウドのストレージかインターネットで共有するスタイルです。

なお動画の内容についても「3分程度」との制約がある以外は自由です。

公募3回目の様相は…

さて、3回目となる今回は昨年を上回る競争率となる可能性があります。そこで、例えば弊社のような専門家に申請書の作成を依頼する「推薦」応募も可能です。

ただし、専門家同士の競争となることも大いに予想できるのでそれほど塀が低くなるとはいえないかもしれません。

ここは補助金獲得を目指すというより、スタートアップとしての事業計画をブラッシュアップするためのきっかけとして、応募申請をとらえたほうが良いかもしれません。

本記事は2025/02/18時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

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