採択後の事務管理のポイント
晴れて審査を通過し補助事業者として採択されても、自動的に補助金が振り込まれるわけではありません。
まずは、採択後の一般的なステップを確認しましょう。
このページでは以下の【1】~【4】のステップに位置する方を対象に、それぞれに必要な手続き等をご案内します。
各ステップの事務管理をしっかりと行い、確実に補助金を受け取れるようにしましょう。
尚、本サイトでは「令和元年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(以降、「ものづくり補助金」)を例としてとりあげています。
【1】 採択決定→ | 【2】 交付決定 (契約)→ | 【3】 助成・補助期間 開始→ | 【4】 助成・補助期間 終了→ | 【5】 完了審査→ | 【6】 助成金・補助金 受領 |
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採択決定→交付決定
この間の最も重要な手続きは交付申請です。補助金は採択されただけで補助金が支払われるわけではありません。その後にある「交付申請」、「交付決定通知」という手続きを経ないと、事業に使うお金が、補助金算定の根拠となる事業経費として認められないのです。
「交付申請」では補助金の申請書とほぼ同様の内容を、改めて決められた様式に記載して提出しますが、いくつかルールがあります。
申請者側としては計画上の経費の額を修正できる最後の機会です。申請書提出後の見積もり金額の見直しや、それに伴った費目間の経費移動などが可能ですが、補助金申請時の総額を超えるような変更は許されません。
この交付申請の提出は、相手機関との折衝の始まりとも言えます。交付審査の過程で、補助金の趣旨に合わないという理由で計上した経費の一部を補助対象経費から除外するように求められることもあります。
一般的には交付決定に締切はありませんが、合意が遅れるとそれだけ事業の開始が遅くなり、結果、事業期間が短くなります。短期間での合意を心掛けましょう。
事業開始→終了
大きく分けて「補助事業進行中におこなうこと」
「途中の検査(中間検査)に向けておこなうこと」
「事業終了に向けておこなうこと」
があります。
すべての手続きに関しては、補助事業の「事務の手引き」に記載されています。
各事業で「報告書作成の手引き」「事務取扱説明書」など名称が異なります。以下に「ものづくり補助金」の「補助事業の手引き」をサンプルとして掲載します。
サンプル:
ものづくり補助金 補助事業の手引き

補助金事業進行中におこなうこと
- 証憑をそろえる
証憑とは、補助金事業の報告に必要な各種書類です。
補助金で購入したものの代金を受領するまでは、基本的に以下のようなフローになります。
例外的に、このフローから外れるものは別の規定がありますが、
「仕様を決めて、見積もりをとって、発注して、納品して、検収して、支払う」
基本は、この流れです。
そして、証憑はそれぞれを「紙」「データ」など「目に見えるもの」で残す必要があります。
弊社でも、証憑をまとめるお手伝いをすることがありますが、お客様には「とにかく、全部とっておいてください」とお願いします。
例えば、出張時の交通機関を手配する際のメモ書き、飛行機の半券、細かな領収書類、発注先に送ったメール納品物の梱包状態、開封、設置、それぞれの場面の写真 etc.
不要なものは使わないので大丈夫。足りないときが大変なのですから!
では、ここで、サンプルの「ものづくり補助金」で「機械装置」を購入した場合の証憑のとりまとめと、各種書類を作成する方法を説明いたします。
補助金の特徴的な経理処理を確認してみましょう。
- 各種変更申請
補助事業に採択されると、「手引き」をはじめ、様々な書式や資料などが提示されます。
よく見ると、直接お金に関わらないものでも、「変更届」を出すことになっています。
変更は、変更後に届け出れば良いもの、さらに追加資料などが要求されるもの、事前に「変更申請」が必要なものがあります。
一般的に、「軽微な変更」以外は事前に「変更申請」が必要です。何が「軽微」にあたるのかという判断が難しいこともありますので、事前に事務局に相談することをお勧めします。
中間検査に向けておこなうこと
とりわけ期間の長い補助事業では、中間検査を行い、場合によっては補助金の一部を「概算払い」するケースがあります。中間検査は、一般的に経理書類を含めた関係書類の「書面検査」と、実際に購入物品などの管理・運用を見る「実地検査」があります。
- 提出証憑をまとめる
提出する証憑は、前出の「機械装置購入のための経理処理」に証憑の取り扱い方や過不足確認の方法などを詳しく記載していますが、まめに、できれば月毎に確認し、過不足や不備に随時対応することをお勧めします。 - 提出書類を準備
「中間検査」に提出する書類は、会計資料に関しては、上記の経理処理のフローの中で月毎に更新する感じで対応していると、さほど重労働ではないでしょう。
ただし、会計資料以外にも、例えば事業者に関連した「就業規則」、出張後の「出張報告書」、人件費が発生する場合の「健保等級証明書」など「存在するものの一箇所にまとまっていない」ものもありますので、チェックリストをつくって早めに揃えておきましょう。
事業終了に向けておこなうこと
終了後に提出する証憑や書類の準備など、気になることはありますが、なによりも、これです。↓
【重要】補助金で購入するものの発注から支払いまでの手続きは必ず事業期間中に行いましょう。
事業期間を過ぎた支払いは補助金対象外となりますのでご注意ください。事業終了→完了検査
事業期間が終了すると、事業の最終段階である完了検査と補助金の支払い手続きと移行します。通常、事業期間が終了する1~2か月前に事務局から通知が来ますが、だいたい事業期間終了後1か月以内で提出するものと考えてよいでしょう。補助金が予定通り支払われるかどうかは完了検査の結果によるので、採択後の事務手続きとしては完了検査が最も重要な手続きといえます。完了検査の対象は
- 経費に関する証憑の確認が中心となる完了報告書
- 事業の成果を説明する実績報告書
- 完了報告書の準備をする
証憑は、中間検査同様、前出の「機械装置購入のための経理処理」をご参考いただき、「ためておかない経理処理」を心がけましょう。
提出すべき書類は、ためおきせずに経理処理していれば、この時点でほぼ完成しているはずです。 - 実績報告書を準備する
ここは最も力を入れるべきところです。
特に「成果」をしっかりと訴えて書き込むのが重要です。
何はともあれ
わからないことがあったとき、困ったことがあったとき、最善策は補助金事務局に直接聞くこと。担当の方が丁寧に説明してくれます。
そして、どうしても、煩雑な事務処理が難しい、という場合は、専門家に依頼するのも一案です。
株式会社アライブ ビジネスでは、
助成金・補助金採択事業の管理支援サービスを行っております。
ご相談はメールフォームか、無料の「15分間電話戦略会議」でお気軽にどうぞ。
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