サービス業でも応募できる『ものづくり』助成金(?)
今回は都内限定で申し訳ありませんが、東京都中小企業振興公社の「新製品・新技術開発助成事業」をご紹介します。
この助成事業は、一見すると新製品開発によくある助成率1/2の普通の助成金に見えますが、よく見ると少し変わった特徴がいくつかあるのです。
その一つは、同じ振興公社が行っている「中小企業ファンド」と同様、都内での「創業予定者」も対象となっているという点ですが、さらにこの事業以外ではめったにないパターンを対象としているのです。
助成金のページでご紹介している通り、この事業は
(1) 新製品・新技術の開発
(2) 新たなソフトウエアの開発
(3) 新たなサービス創出のための研究開発
の3区分に分かれ、申請書の冒頭でこの中から1つだけを選択する形にしてあります。
珍しいのはその(3)で、内容を見ると「新たなサービス創出の主要な部分は申請者が担うこと」としつつも、そのサービスに必要な技術開発要素は「外注、または外部委託して良い」とされていて、これは他の助成事業では許される例が見当たりません。
さらに念入りにも「本事業の対象とならない事項」の第5項に「研究開発の大部分あるいは全部を外注しているもの。ただし(3)は除く」とされています。つまりこの区分(3)は研究開発部門を持たないサービス業向けの助成スキームであり、特にものづくりシフトが目立つ昨今では貴重な助成事業であると言えます。
もちろん(3)の外注先がIT関連事業でも構わないので、わかり易い例でいえばラーメンチェーン店が顧客固定化を目的としたCRMツールとしてソフトハウスにスマホのアプリの開発を頼んだ場合も対象になります(最も「他にはない新規性」が要求されますが)。
さらにさらに、これはあまり大きな声では言えないのですが、仮にものづくり企業がある技術開発に関して助成金をもらっていた場合、同じ企業からの同じテーマでの2度目の申請は難しくとも、他のサービス業企業が申請者となり、その技術を応用して『新たなサービス創出』として応募すれば、応募条件を満たす可能性は大きくなります。
「最近の助成金はものづくりばかりで使えるものがない」と考えておられるサービス業の方。今回は是非斬新なアイデアを持って応募してください。
季節の俳句
鳥になりたしと思えば山笑う (辻 素舟)
「山笑う」は不思議な季語で、理屈抜きに「春」と納得させる力があります。このところ山歩きする機会に恵まれないので、今の助成金ラッシュの山を越えたら、本物の小高い丘の上で鳥を眺めて、笑う山に向かう機会を持ちたいと思います。
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