17億円の使い方・模索続く「ベンチャー支援事業」 - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

HOME > コンサルタントの視点 > 17億円の使い方・模索続く「ベンチャー支援事業」

17億円の使い方・模索続く「ベンチャー支援事業」

2015/07/21

NEDOの「研究開発型ベンチャー支援事業」の平成27年度公募が、7月9日から始まっています。昨年度から始まった事業ですが、昨年と今年の公募要領の内容を見比べると、同じ事業とは思えないほど内容が異なっています。

何よりこの事業の採択者に対する呼称からして変えています。昨年度は起業家候補人材を示す「スタートアップイノベータ―」=SUIとされていましたが、今年は技術シーズを持つ起業家候補と言う意味で「シード期の研究開発ベンチャー」=STS(Seed-stage Technology-based Startupsの略とのこと)に言い換えられています。

「確か昨年の『基本方針』にはSTSなどなかったはず?」と今年の『基本方針』を覗いてみると、・・・なんとSTSに関する記述が追加されていました。

SUIとSTSの違いは結構大きく、昨年のSUIはあくまで個人が対象であり、採択後に起業する計画であれば応募時点では大学や他の企業に勤務している身分でも構わなかったのですが、今年度のSTSは既に起業している企業(または交付決定までに起業予定)が対象です。

さらに支援内容も大きく違っています。SUIの場合は、これもNEDOが公募で募集してSUIの育成を委託した「事業化支援人材」によるサポートと、SUI個人及び起業した会社への直接資金援助(100%)であり、年間最大3,450万円(最長2年)となっています

ところが今年度のSTSへの支援内容には「事業化支援人材」による支援は行われず、採択から平成29年2月までの約1年半の期間を対象とした、限度額7,000万円、助成率85%の「助成金」という形での支援となります。

また、昨年度の「事業化支援人材」の代わり(?)に、STSに投資の形で資金援助するベンチャーキャピタル(VC)をSTSの公募に先だって募集し、審査結果を7月9日付けで「認定VC」として公開しました。

今年度はこの「認定VC」からの投資がSTSとしての応募条件とされており、公募締切の8月31日までに、NEDOが認定した12社の「認定VC」のどれかから、助成金額の15/85以上の出資を受ける決定をもらえなければ「研究開発型ベンチャー支援事業」への応募ができない仕掛けです。

現在応募を検討している企業のほとんどは、7月9日に初めて公開された「認定VC」からの投資を先行して獲得しているとは考えにくいので、これから8月末を目標に「認定VC」への投資依頼を始めなければいけない状況と考えられます。

そこで、NEDOが今後予定している公募説明会では、並行して「技術系スタートアップのための資金調達を目的とするビジネスプランの書き方」という、「認定VC」に投資を求めるためのセミナーを用意しています。

この事業への応募される場合は、このセミナーへの参加が非常に重要なポイントかと思います。応募を検討中の方であっても、取りあえず説明会には申し込みましょう。

本記事は2015/07/21時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

滝落ちて群青世界とどろけり (水原 秋櫻子)

暑さは高山の涼しさを思い出させます。連休の一日の昼過ぎ、暑さの中でまどろんでいて、何度か見に行った袋田の滝の水しぶきを思い出しました。