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補助・助成事業の重要性に着目~福祉用具開発~

2017/01/16

今年最初の補助・助成金事業のご案内は、NEDOによる平成29年度「課題解決型福祉用具実用化開発支援事業」です。今のところまだ公募前で、正式には“予告”の段階ですが、この助成金の特徴を説明します。

長くお付き合いいただいている皆さんには、「お馴染みの」助成金であり、このブログでも何回も取り上げてきました。(参照:コンサルタントの視点 福祉用具に2000万円×3年

復習になりますが、特徴の第1は、助成金事業として24年間も続いていて、平成17年度以降12年間も支援対象が少しも揺るがない「奇跡的」事業であること。これは毎回のように対象となるタイプが変化している「ものづくり補助金」と比べてみればわかります。

この事業の他の特徴は、過去の実績に関するデータが公開されている「実施方針」という資料に示されています。最新版となる平成28年度版を見てみましょう。
(参照:NEDOWebページより)

全11ページの平成28年度「実施方針」のなかで注目されるのは3ページから6ページに示されている「4.3これまでの事業実施状」です。第1回の事業の結果がでた平成6年度から、平成27年度までの全期間について、各種の実績が記載されています。

対象事業の見直しが行われた平成17年度以降の各実績の数字を眺めて特徴をまとめます。

(1)予算額の推移 ・・・年ごとの変動が大きい
各年度の当初予算と事業完了時の確定額が記載されています。開発予算と調査予算に分かれていますが、ここでは総予算の90%以上を占める開発予算に注目します。

年間開発予算は平成17年以降1.2億円から3千万円と年によって大きく変動しており、事業としては長年継続しているものの、その年々の事情にかなり影響を受けていることが読み取れます。

ただし直近では、全省の医療福祉に関する補助・助成金予算を一元化したAMEDの設立以降である27、28年度がともに約1億円であり、29年度も環境に大きな変化はなさそうなので同じく1億円程度の予算かと思われます。

(2)開発助成への応募件数及び採択件数・・・競争率の乱高下
平成17年度以降の応募者数の変動が大きく、最大で77件、最小で29件と、2.6倍の差があります。

さらに(1)で見た通り開発予算総額の年間変動が採択件数の変動として表れるので、年々の競争率(倍率)は相乗効果で、2.3倍から15.4倍まで、ジェットコースターのように乱高下しているので、年によっては低倍率の幸運にめぐりあう可能性はあります。

ただし、29年度については、27,28年度の継続事業による予算消化等も加味すると、新規の採択件数はあまり多くないと考えられ、複雑な計算は省きますが、おそらく昨年同様3件程度かと予想しています。

(3)製品市場化事業者数・・・助成金で製品化を達成できたのは2社に1社
この助成金で開発した製品を上市した「製品市場化事業者」と、その利益が基準を超え、その一部を政府に返納した「収益納付事業者数」の一覧であり、最も興味があるデータです。
これらの実績を公開している事業は他にないのではないでしょうか?

収益納付を行った企業が5%程度というデータについては、利益の定義が曖昧なはずなので「助成金を返納した採択企業は多くない」という程度の意味しかないのですが、助成金で開発した製品を上市した件数が207件の内107件というのは興味深いです。

この助成金で開発した製品が上市できたのは2社に1社程度ということですが、これは「助成金を使ったのに半分しか製品化できなかった」という読み方は間違いです。

「この助成金があったから、製品化の可能性が50%しかない開発にチャレンジして新製品を産んだ企業が107社もあった」と見るべきであり、日本の産業の育成に助成金が重要な役割を担っていると考えるべきです。

規模としてはものづくり補助金等と比べて決して大きくはありませんが、「助成金を使ってユニークな福祉用具を開発したい」と考えている方はぜひこの事業にチャレンジしてください。

本記事は2017/01/16時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

一月の川一月の谷の中 (飯田 龍太)

1月というとこの句が浮かびます。雪とはどこにも書かれていませんが、目に浮かぶのは真っ白な渓谷を流れる一筋の流れ。都会の生活では味わえない精霊な感覚が、一句から得られます。

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