事業スキームを研究して取り組もう医工連携事業
今回ご紹介する補助金は、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(以下AMED)による平成29年度「医工連携事業化推進事業(開発・事業化事業)」です。でもその前に、この補助金にはいささか歴史があるので、AMEDという組織について少しだけ触れます。
AMEDはJapan Agency for Medical Research and Developmentの略称ですが、日本の薬事から医療機器に渡る医療関係の研究開発のための予算を執行する機関であり、設立が平成27年4月1日という新しい組織です。
ご存知の方も多いと思いますが、AMEDは過去に日本の医療技術の研究開発予算が主に厚生労働省、文部科学省、経済産業省に分散されていて、省庁間の縦割り行政の弊害が日本の医療技術の国際競争力を低下させているとの長年の批判に応える形で設立されました。
もちろん縦割り行政への批判はこの時急に始まったわけではなく、過去に何度も組織統合の機運はあったのですが、時々の政府に省庁間の強力な縄張り争いを捌ける腕力が無く、何回も挫折を繰り返したという経緯があります。
ではなぜ平成27年にAMEDが誕生したかというと、やはり安倍政権の強さに支えられた内閣府のリーダシップでした。平成25年2月に内閣官房に健康・医療戦略室が設置されたのがスタートでしょうか?
というわけでAMEDが行っている事業は、すべてその設立後に新たに始まったわけではなく、他の省の予算で行なわれていた事業をAMEDに引き継いだものもあるのです。
今回の「医工連携事業化推進事業(開発・事業化事業)」がまさにそれで、前身は平成 22 年度からは経済産業省が行っていた「課題解決型医療機器等開発事業」であり、そのことは公募要領にも記載されています。
平成 26 年度には「医工連携事業化推進事業」と名前が変わりましたが、AMEDが設立した平成27年は、設立前の1月に経済産業省による公募が始まったのです。
しかしその公募要領に、「本事業の公募は経済産業省が行うが、採択された事業の運営は4月に設立されるAMEDが行う」という旨の注意書きがあったことが、今でも記憶に残っています。
以上の理由からこの事業は、産学連携体としてのコンソーシアムでの応募が申請条件であるものの、「申請者は民間企業に限る」とか、「コンソーシアムのメンバーにものづくり中小企業が含まれること」など、経済産業省時代の特徴を色濃く残しています。
逆にAMEDに移管されてから、医療機器を市場に送り出すためには不可欠の要素でありながら、経済産業省時代には含まれていなかったものもあります。
例えば医療機器の製造販売許可を持っている企業の参加が必須条件になっていることや、医療機器としての承認申請に必要な臨床試験を行う場合の年間補助対象上限額の増額(8千万円から1億円)などがこれに当たります。
コンソーシアムはものづくり中小企業と医療機器の製販企業に加え、医療機関の参加が必須であり、また大学等の研究機関の参加がないと採択は難しいのですが、いずれも新しい医療機器を市場に出すためには不可欠のメンバーです。しっかり体制を作ってチームワークで挑戦してください。
季節の俳句
白梅に昔むかしの月夜かな (森 澄雄)
夜の梅です。香りでその存在が知られる白梅以外の人工物は隠され、「昔むかし」というやわらかい表現で、太古から変わらぬ月の光を感じる句です。
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