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技術革新を加速~もう一つのNexTEP~
2017/12/18
前回は文部科学省の企業向け支援としてJSTのA-STEPの一部であるNexTEP‐Aタイプをご紹介しましたが、今回はもう一つの「産学共同実用化開発事業NexTEP」について説明します。
この事業、「A-STEPのNexTEP-Aタイプ」と重なる点が多く、注意しないと混乱します。
まずその事業名からして一部が同じでややこしいのですが、さらに「A-STEPのNexTEP-Aタイプ」と事業スキームが全く同じです。
公募締切日が年間3回あって最終締め切りが3月30日であることや、開発が成功した場合の10年間の開発費返還と失敗した場合の10%返還、特許権者への実施料の支払いなど、すべてが共通しています。
(参照:助成金・補助金ピックアップ「平成29年度 第3回 A-STEP(研究成果最適展開支援プログラム)ステージⅢ NexTEP-Aタイプ」
なぜ異なる事業でスキームが同じなのか?ネタを明かせば「産学共同実用化開発事業NexTEP」と「A-STEPのNexTEP‐Aタイプ」は平成28年8月に閣議決定された一つの開発支援事業を、個別に予算枠を持つ2つの事業枠に振り分けたと考えればわかりやすいです。
なぜ2つの枠に分けたのかはわかりませんが、言わば一卵性双生児であり似ているのは当たり前なのです。そこで違うところを列記します。比較のため( )内にA-STEPの内容を示します。
- 上限金額50億円(15億円)/10年間
- 未来創造ベンチャータイプと一般タイプの2タイプ(AタイプとBタイプ)
- 優先技術分野はIoT・AI関連分野(優先技術分野なし)
- 実施部署がJSTの産学共同開発部(同産学連携展開部)
尚、未来創造ベンチャータイプについては、返還期限が10年の開発費返還に、5年間の猶予期間や傾斜型(返還額がはじめは低く、後で高くなる)などのオプションが付いています。起業後10年以内という応募資格を考慮したようです。
というわけでA-STEP同様こちらのNexTEPにも採択事業の早期育成支援と「開発費返却」「実施料徴収」という企業負担への見直しをお願いしたいのですが、今回はいつもと違うニュースがあります。
NexTEPの平成28年度の「緊急公募」で採択された企業に株式会社ExaScalerという会社が含まれています。採択された課題は、スパコンランキングで国内1位を獲得した「Gyoukou(暁光)」に関する開発です。
ところがこのスパコンに搭載しているCPUが、今NEDOの助成金詐欺罪の追及を受けている株式会社PEZY Computingの齊藤元章社長が開発したものだそうです。
ExaScalerの木村社長と齊藤社長との関係は深いようで、ExaScalerホームページにも、12月12日現在東京地方検察庁特別捜査部から捜査を受けている旨の告知がされています。
ExaScalerがPEZY Computingによる詐欺事件に関係があるのかないのかについては全く分かりませんが、確実なのはこれまでそうであったように、今回の事件で補助金を獲得した後の運用に関するルールが厳しくなることです。
毎年何件かの企業様の補助金運用をご支援している弊社としては、まじめに取り組んでいるにも関わらず年々厳しくなるルールにより苦労が増えるお客様を見ているので、一切の不正がなくなって運用の負担が減る方向に改善されることを祈るばかりです。
というわけで、今回は話が横道にそれましたが、 IoTやAIの大規模開発を計画されている方はNexTEPをご検討ください。
本記事は2017/12/18時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。
季節の俳句
人も子をなせり天地も雪ふれり (野見山 朱鳥)
作者は人生の3分の1は病床にいたといわれるほど病弱だったとのこと。それでも人の営みと自然の営みが静かに同期しているようなこの句のぬくもりは、病床での自然との交感から生まれてきたのでしょうか。
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