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IT導入補助金、上限額が9倍に

2019/02/04

2019年度のIT導入補助金(正確には平成30年度補正「サービス等生産性向上IT導入支援事業」)が動き出しています。1月25日付けでIT導入補助金の運営事務局の公募が公開されたのです。

1月にはものづくり補助金の運営事務局の公募が行われ、その公募情報の中にものづくり補助金の概要を示す形で予告をしていましたが、IT導入補助金についても事務局募集のための公募要領の後半に本募集の概要を示すという同じ手法で予告が出ました。

平成30年度補正で行われるIT導入補助金は、実際にはほぼ平成31年度を通して運営されることになりますが、今回はその予告にある情報をもとに、今年度実施の平成29年度補正による事業とこれからの事業との違いを中心に解説していきます。

まず、その総額予算が大きく縮小されます。以前にもお伝えしたとおり、今年度実施の事業で500億円の予算を確保したにもかかわらず、なかなか消費できず、おそらく300億円近いあまりが出そうです。

その煽りでしょうか、平成30年度補正では総額100億円に縮小されるとのこと。また今年度実施事業では1件当たり上限50万円、補助率1/2であったものが、「平成30年度補正」では上限450万円、補助率1/2と大きく拡大されました。

これは上限50万円のまま事業を繰り返しても、これ以上応募がないとの読みでしょう。つまり、50万円の補助金に惹かれる企業は残っていなくとも450万円であれば応募数が増えると考えたのではないでしょうか?

その予想はあっていると思います。しかし、応募要領では採択者の予定については6000件とされており、平成29年度補正で予定していた10万件と比べてあまりにも弱気すぎる読みではないでしょうか?

これだけ上限額を増やすなら、せめて昨年の実績並みの200億円程度の予算を確保してもらわないと、1回目の公募で予算を使い切るのではないかと思います。昨年からIT導入補助金の登録支援事業者をされているベンダーの方にも意見を聞いてみました。

するとやはり、「900万円使って450万円の補助金がもらえるなら、Eコマースや販売促進ノウハウを実現する機能を持つ集客ツールなど、補助金50万円では決してできないサービスを新たに導入したいという応募者が殺到するのでは?」との意見でした。

さて、運営事務局の応募締切は2月22日となっています。昨年度と同じ「一般社団法人サービスデザイン推進協議会」が採択された場合、体制は整っているので3月初めには公募が始まる可能性があります。

という訳で、450万円の補助金でIT化を進めたいと思われた方は、2回目以降はないものと思ってすぐに準備を始めてください。

さらに昨年と違って競争率が高くなるため、事業目的の「生産性向上の実現」をしっかり表現しないと審査に落ちるかもしれません。今からじっくり事業計画を練り上げましょう。

本記事は2019/02/04時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

春浅し空また月をそだてそめ (久保田 万太郎)

早春の夕空にある三日月を「またも空が育て始めた」と見た句のようです。寒さが苦手で室内でこもる印象の万太郎としては、寒空にひるまず大自然の健全さを謳った珍しさがあります。