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他薦もOKなスタートアップ支援

2026/02/16

ICTスタートアップリーグコンサルタントの淡河です。今回は「令和8年度 スタートアップ創出型萌芽的研究開発支援事業/ICTスタートアップリーグ」をご紹介します。

総務省によるこの事業は、「スタートアップ育成5か年計画」の一環です。同計画は、2022年11月28日に内閣による「新しい資本主義実現会議」で決定され、2023年度から全省庁で取り組んでいます。

したがって今回が4回目の募集となります。事業の目的は「ICT技術をコアとしたスタートアップの立上げと育成の支援」です。

昨今あまり使われなくなった用語が含まれているところは、通信会社を管轄する総務省らしいです。

余談ですが、公募サイトのデザイン性があり官庁らしくないのは、運営をデロイトトーマツに委託しているためでしょうか?最近はこのようなパターンが増えてきました。

さて、支援の内容は資金面と専門家による伴走の2つに分かれます。

スタートアップにうれしい補助率100%の資金支援

まず資金提供ですが、上限額がSupport 1、2に分かれています。 
概要を下表に示します。

タイプ上限額/補助率事業化フェーズ事業完了時のアウトプット
Support 1300万円/100%PoC※1またはFS※2事業計画策定、法人化※3
Support 22,000万円/100%実用化開発ビジネスモデル構築、法人化※3

※1:Proof of Concept 概念実証 
※2:Feasibility Study 実現可能性の調査・検証
※3:採択時に法人化前の場合

ざっくり言って事業計画の策定と、その計画の社会実装に向けた開発とに分かれていますが、いずれにしても補助率100%とは魅力的です。

強力な「支援機関」によるスタートアップへの伴走支援

公募要領からそのまま引用します。
  • 専門家による起業、開発、実用化への助言
  • 人材確保のサポート
  • ピッチ、マッチングイベントの開催
  • 実用化に係る事務的な支援 (購買、物品管理、特許取得サポート等)
  • 開発、起業ノウハウに関する勉強会
  • 協業に関するサポート

「支援機関」がスタートアップを支援もちろん総務省にこのような支援ができる機能はありません。実際の支援は、ICTスタートアップリーグに協力している「支援機関」が行う体制を敷いています。

「支援機関」はVCやインキュベーター、金融機関などの32機関で構成され、公募サイトの中で詳細が紹介されています。

支援機関の中心は、シード期のスタートアップ支援に強いArchetype Venturesやインキュベイトファンドなどの中堅VCが中心です。一方で、ジャフコグループのような老舗や三井住友海上火災保険等の大手も参加しています。

ICTスタートアップリーグの「採択者一覧」は価値あり!

では、採択実績を見てみましょう。こちらも公募サイトの「採択者一覧」で公開されています。応募者数や採択者数ついては公開されていないのですが、採択案件は採択者名とともに内容が公開されているので、数えてみました。

2025年度:62者、2024年度:25者、2023年度:39者

2026年度は2025年度に比べて採択者数が増えそうな動きです。中にはAironWorksや岩谷技研のように3年間毎回採択されている企業があり、また公開されている事業内容も興味深いです。今回初めて応募する際は事例として参考になるでしょう。

特徴的な「推薦」応募


専門家とタッグを組んで「他薦」応募もできる最後にこの事業の極めて特殊な応募方法についてご紹介します。通常、スタートアップ支援のための補助金は、事業計画を立案する法人または個人自身でないと応募できません。

これを「自薦」と表現するなら、この事業には「推薦」が許されているのです。つまり、応募申請に必要な事業計画を、推薦する他者が作成して応募できるということになります。

かといって公募要領他関連情報を確認しても、推薦者と応募者との関係性についての条件は、「事前に被推薦者の承諾を得る」以外に示されていません。

つまり誰であっても応募者の了解さえ取れれば推薦者になれると解釈できます。しかも二者間での費用負担についても一切制約はありません。これはかなり珍しい方式かと思います。

現在IT系エンジニアの仕事を持ちながら独立を目指している方などは、事業アイデアを申請書にまとめてもらえる専門家に推薦をお願いすることも検討されてはいかがでしょうか?

本記事は2026/02/16時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

雀らに春光運びきれなくなる (小倉 緑村)

雀の身としては、誠に勝手な言い草ながら、俳人は春の陽射しの中で地の餌をつつく雀を見ながら連想したような気がします。雀もそれを眺める人もあわせての春うららですね。