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文部科学省予算の支援事業 A-STEP

2017/12/04

文部科学省予算のうち、企業を支援対象とする事業は今やA-STEPと産学共同実用化開発事業だけとなりましたが、今回はA-STEPの内のNexTEP‐Aタイプをご紹介します。この事業は産学共同実用化開発事業の一部と重なっていますが、それについては別にご紹介します。

今年度の公募は締切が7月31日、11月30日、来年の3月31日の3回設けられ、今は3回目の締切を残すのみです。

日本科学技術振興機構(JST)が運営する A-STEP については何回かご紹介しましたが、簡単に言えば大学等の特許技術(シーズ)を育成するため、企業の参加を募って実用化を促進する事業であり、シーズの発掘から実証、実用化までのシームレスな支援が特徴です。

シーズの可能性を広げるステージⅠ 、そのシーズの実用性を検証するステージⅡ、さらにシーズの実用化をめざすステージⅢという構成となっていましたが、ステージⅠについては平成28年度で終了しました。

ステージⅢであるNexTEPは、さらにAタイプとBタイプに分かれ、Bタイプは6月9日に公募が終了していますが、お伝えした通りAタイプはほぼ通年公募となっていて、最後の締切が来年3月の末というわけです。

経済産業省による企業向けの事業化支援事業は数多くありますが、文部科学省予算の A-STEP の大きな特徴は、上限15億円という支援金額の大きさと、最長10年という研究開発期間の長さです。

シーズとなる技術が生まれてから実用技術として収益を上げるに至るまでの難しさは「死の谷」と表現され、お金もかかり期間も長いので、高額で長期間の支援には大きな意義があると思います。

だからこそ気になる点が2つあります。まずA-STEP の成果ですが、公開されている実績を見る限り、大きな利益が見込めるところまで成長した事業は残念ながら見当たりません。

確かに革新的な技術を事業化するには時間がかかりますが、グローバルな視点で見れば米国を中心としたAI技術の発展や中国で進んでいるドローンの実用化など、今やイノベーションのスピードが事業化の成否を制するための重大な要素になりつつあります。

A-STEPの事例集で紹介されているユニークな開発を見るにつけ、A-STEPから世界を騒がすような新事業が1日でも早く生まれるよう、できればスピードアップに効果がある支援も欲しいところです。

2点目は支援の条件となるスキームです。一般的には補助金は「返さなくてよい」と理解されていますが、A-STEPの場合は「開発に成功したら10年間で返さなければならない」支援制度です。

さらに、その開発で売り上げが立った場合、大学等のシーズ所有者(知財権者)とJSTに知財使用料を支払う義務も生じます。

これらは開発に成功した場合のみ徴収される費用ですが、たとえ利益が出ていなくても、製品等の販売が始まった時点から発生する費用なので、開発主体である企業にとってみれば大変な負担になります。

JSTには何とか改善を望みたいところですが、応募する立場で考えれば「開発が成功しなかった場合は支援額の10%だけを返還」というルールと組み合わせて、開発と事業化の構想を立ててください。

季節の俳句

大榾を返せば裏は一面火  (高野 素十)

この句はまだ若かったころ数人の友達と囲んだキャンプファイヤーを思い出します。宴も終わりかけ、会話も途切れがちになったころ、これも小さくなった焚火に置かれていた少し大きな榾(ほだ)を軍手で何気なく裏返した時の、びっくりするほどの大きな炎。

あれから何十年たったでしょうか?


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