平成29年度 補正予算 注目度の高いものづくり補助金 - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

HOME > コンサルタントの視点 > 平成29年度 補正予算 注目度の高いものづくり補助金

平成29年度 補正予算 注目度の高いものづくり補助金

2018/01/09

皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

さて、今年最初の話題は「ものづくり補助金」です。

昨年12月15日の日刊工業新聞でものづくり補助金に関する予告記事が出ていましたが、その後平成29年度補正予算が国会通過したこともあり、経済産業省からかなりの量の関連情報が提供されています。

ただし、公募開始は2月以降のようなので、公募要領が公開されるのは先になりそうです。従って今のところ詳しい情報は入手できていません。ただ、公開された情報を整理すると、今回のものづくり補助金の特徴がかなり見えてきます。

まず注目は、その予算規模の大きさです。補正予算額1000億円というのは中小企業庁その他の公開情報から確認されました。昨年の予算が764億円まで縮小されたことを考えると、3割以上増のV字回復となりました。

昨年8月の概算要求では明確な記述がなかったので廃止も予想していたのですが、やはり最近我が国の中小企業の生産性の低さに注目が集まっていることから、最新型の設備投資を推進することで改善したいという意向が強まったのでしょうか?

次に、前回までの恒例であった「賃金増」や「第4次産業化」に連動した補助金上限額倍増の仕組みは、どうやらなくなるようです。「第4次産業化」の要素であったAIやIoT、ロボットなどの言葉も一切消えており、基本的には上限1000万円一本となりました。

そして補助金のページで示した通り、事業枠が「企業間データ活用型」、「一般型」、「小規模型」の3つに整理されています。一見するとこの中で目玉は、「企業間データ活用型」のように見えます。

補助率が2/3で複数の企業間でデータ連携すれば1社200万円が追加されるので、補助率が1/2の「一般型」や上限額が500万円の「小規模型」と比較すれば条件が良さそうです。しかし冷静に考えると、「企業間データ活用型」に応募するのは結構難しいかもしれません。

仮に2、3社の連携であっても、公募締め切りまで数か月と考えれば今の時点ですでに事業運営のレベルである程度の連携ができていて、どこをどのようにIT化すべきかの課題が見えている状況でないと難しいでしょう。

しかも連携企業が共に1社あたり1800万円相当(補助金上限1000万円+200万円の1.5倍)の設備投資を行うタイミングが揃っている必要があります。もしそういう相手を今から探すということであれば条件を整える時ための時間が足りないでしょう。

さらに、連携体で応募して不採択となった場合、おそらくその中の一部だけが採択ということはないので、単独で応募した方が事業計画もシンプルになり、1社当たりの採択確率は高くなると考えられます。

という訳で、今の時点で連携先が明かでない場合は結果として「一般型」または「小規模型」のうち適切な方を選ぶことになるかと思います。「小規模型」は総額1000万円以下の、設備投資を伴わない試作開発やサービス開発にぴったりです。

また「一般型」は「経営革新計画の承認」または「先導設備等導入計画(仮称)の認定」を取ることで補助率が2/3に上昇します。

「先導設備等導入計画(仮称)」とは30年度の税制改正に盛り込まれる予定の「大胆な固定資産の特例」の具体策として予定されている新制度です。この制度については詳細が判明し次第ウェブサイト等でご案内しますのでご注目ください。

「経営革新計画の承認」または「先導設備等導入計画(仮称)の認定」が受けられれば、「一般型」の採択率は確実にが高まると思います。できるだけ早い時期から準備して、補助金を獲得しましょう。

本記事は2018/01/09時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

初富士に雲湧き見つつをれば消ゆ  (水原 秋櫻子)

今年も初詣、駅伝観戦、年賀状の応対などで慌ただしく三が日が過ぎ、あっという間に初出勤となりました。眺めていると富士の中腹に雲が湧きだし、それと見ている間に再びその雲が消えていく、という掲句のような時間の流れの中で新年を迎えることができるのはいつのことでしょうか?