事業承継をお考えの経営者の方必見~後継者承継支援型~ - 研究開発系補助金のスペシャリスト アライブ ビジネス

HOME > コンサルタントの視点 > 事業承継をお考えの経営者の方必見~後継者承継支援型~

事業承継をお考えの経営者の方必見~後継者承継支援型~

2018/05/07

予告されていた平成29年度補正 事業承継補助金【後継者承継支援型】の公募が4月27日に公開されたので解説します。「事業承継」については昨年あたりから経済産業省が強化しているテーマであり、生産性の向上と並ぶ大きな課題とされています。

我が国の中小企業は「失われた20年」を含む1995年以降、毎年10万社前後が減少する状況が続いていて、やっと最近少しだけ持ち直しています。そしてその主な理由は経営不振というより後継者不在です。

データによれば60歳以上の経営者の47.8%が後継者不在とのデータがあり、経営は順調にもかかわらず現経営者が個人保証している債務の引き受け手がないなどの理由で廃業を選ばざるを得ない事例が、既に何年にも渡って山積しています。

つまりこの問題は今に始まったわけではないのですが、ここにきて経済産業省が急に力を入れだしたのには訳があります。中小企業白書にも述べられていますが。日本の企業の99.7%を占める中小企業の経営者の年齢層が、そろそろリタイアの平均年齢に近づいてきたのです。

1995年には平均47歳であった中小企業の経営者が、2015年には66歳となったとのデータから、今や経営者の平均年齢は69歳前後でしょう。一方で、これまで経営者の引退年齢は平均68~69歳とされているので、今後数年の間に大量の経営者がこの年齢に達することになります。

そこで、今年度から5年間に集中して経営者の交代やM&Aを支援し、経営者の引退に伴う廃業を回避して雇用の継続を目指す施策が始まりました。その一つがこの「事業承継補助金」です。

現在公募中の補助金は【後継者承継支援型】とされ、経営者の交代を促すタイプですが、その公募要領の冒頭にM&Aタイプである【事業再編・事業統合支援型】の公募が7月に予定されていることが示されており、文中にはM&Aタイプの補助金上限額が高いことも示唆されています。

従って応募される方はどちらが適切かよく吟味していただきたいので、以下に【後継者承継支援型】の特長を示します。

  1. 承継(予定)者の経営経験着目・・・資格審査の対象として、事業を承継する者が3年以上の役員実績等の経営経験を有するとの条件が含まれている。

  2. 小規模事業者優遇・・・基本の補助金上限額も事業廃業を伴う場合の追加額も小規模以外の中小企業に対して小規模事業者が高額総額では375万円に対して500万円)に設定され、さらに補助率も差1/2に対して2/3)をつけている。

  3. 「新たな取組」の重視・・・現経営者から経営を引き継ぐだけでなく「経営革新」に該当する新製品の開発や新サービスの提供などの新たな取組が必須条件とされてる。

親族や従業員への事業承継を検討している人はもちろん、60代後半以上の経営者の方は、7月に控えているM&Aタイプの【事業再編・事業統合支援型】と併せて、この機会に是非事業承継の検討を始めてください。今回の公募に間に合わない場合でも、この事業はまだ5年続きます。

本記事は2018/05/07時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

白藤や 揺りやみしかばうすみどり  (芝 不器男)

大正から昭和初期にかけて大注目されながら26歳で夭折した不器男の句は、一瞬の間に目がとらえた画像を見事に句にしてしまう技に感服します。「ゆりやみしかばうすみどり」という音の流れと、目に浮かぶ情景がすばらしい。