医療機器開発支援へ―経産省、強気の助成金
平成24年度の経済産業省委託事業、「課題解決型医療機器等開発事業」が公募中です。
国内での医療関連の主管官庁は厚生労働省なので、本来であれば管轄違いなのですが、巷で言われる「ドラッグラグ」と並ぶ、日本の医療機器開発の国際的一人負けを何とかしようと、経産省・厚労省連携という形で3年前に始まった事業です。
実際に主導しているのは経産省なので、こちらから見ていると「巧妙にも厚労省の牙城への潜入成功」と見えるのですがヒガミでしょうか?
ところで、今回の公募ではこれまでと大きく異なる点が一つあります。それは事業の委託対象(経産省がお金を払う対象)がこれまでの「研究開発から治験まで」から「研究開発から薬事承認段階まで」に拡張された点です。
と言っても日頃薬事に係わりが薄い方は「何のこと?」と思われるかもしれませんが、これは大変大きな対象範囲の拡張なのです。以下に簡単に説明します。
薬でも医療機器でも、最初のアイデアがうまれてから最終的に保険点数がつく「薬事承認」が得られるまで、一般的には概ね次のような段階を経ます。
1.基礎研究 | たとえば試験管の中や試作品による基本的な有効性確認 |
2.治験前検査 | 動物などを用いた安全性試験、有効性試験 |
3.臨床研究 | 実際に人に対する効果・安全性を小規模に確認する |
4.治験 | 薬や医療機器としての効果と安全性評価を、厚労省の保証が得られる規模で行う |
5.薬事承認 | 治験の結果を評価し保険点数が付与される |
ここで「治験段階まで」というのは「4.」が始まるかその直前まで、と考えていいと思いますが、「薬事承認段階」というのはほぼ「5.」の準備が整うまでということになります。
広がった範囲は「4.」の1段階程度なのですが、実際にはこの5段階の中で、費用や時間が最も必要とされる段階が「4.」なのです。
よく医療機器の場合は薬事承認まで「最低10億円(薬の場合はその10倍)」といわれますが、この「4.」をクリアするために必要なのはそのうち8割以上かもしれません。なので、この事業に採択されて総額2億4千万円の費用では、実際に薬事承認を得るには実はまったく足りないのです。
公募要領にも臨床研究の実施が許されている『医療機関』や、治験の主体となる『製造販売許可を持つ製造業』が共同体メンバーに含まれていることが必須条件と書かれています。
つまり、中小企業支援を目的とした事業ではありますが、支援される側もしっかりとした体制ができていないと迂闊には応募できないということです。
初めて「課題解決型」と称するこの事業が公募されたとき、経産省に相談に行ったのですが、その時は「『将来的には治験を目指す』程度でいいから書いといてください」という、どこまで本気?という状況でしたが、今回の変更内容を見ると、経産省として本気で日本の医療の一翼を担うつもりで一歩踏み出したという印象です。
ということなので、応募される方は十分な体制を構築して臨んでください。
季節の俳句
てふてふや いま神様の 毬ついて (小杉 余子)
「てふてふ」という字面がいかにも神様のつく手毬の動きを表しているようで、見た目が気に入っている句です。実は今年はまだ蝶々に出会っていません。通勤の行きかえりでは菜の花が満開なのに不思議です。天候不順のせいでしょうか?
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