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「下請」からの脱却に、2000万円

2013/11/25

今回は今年度から始まった2件の「下請け」をテーマとした助成金について、政府の意図を解説します。

事業名は「下請中小企業自立化基盤構築事業」と、「下請小規模事業者等新分野需要開拓支援事業」。例によって長々と漢字が並んで読みにくいので、以下、前者をA事業、後者をB事業と呼びます。

前者のA事業は2社以上の「下請け企業」が連携し、事前に認定された「特定下請連携事業計画」に基づいて申請する課題解決型提案を求めています。と言ってもサポインなどでよくあるように、今回は事業計画の申請と、助成事業の申請が同時でも構わない形をとっています。助成金上限は2,000万円、助成率2/3です。

また後者のB事業は、単独で新分野を開拓する「下請け企業」が対象です。金額は小振りの500万円、助成率は同じく2/3ですが、連携が必要なく、認定計画の作成も不要なので、金額面が合致すれば結構使いやすいでしょう。

さて、まず「下請け企業」とは何か?これはなんと昭和45年施行の「下請中小企業振興法」という法律で定義されています。内容を読むと細々と書かれているのですが、大胆にまとめると「自社より大きな会社(親企業)に、部品を提供している企業」という、なんだか製造業なら誰でも当てはまるような大くくりの枠組みです。

A事業B事業とも、親企業製造拠点の海外移転により親企業への売り上げが一定限度を超えて下がった(下がる予定)という事業環境と、連携体や単独で新たな取引先や新分野の開拓を行うという事業活動という二つの条件を満たせば支援を行うというスキームになっています。

この裏には、実は日本の大企業、特に製造業のグローバル化による成長の陰で、国内の下請け企業の仕事が激減しているという頭の痛い問題が隠れています。

ものづくり大国と言われている日本ですが、これまで世界に通用する最先端の製造技術を生み続けてきたのは実は大企業の研究開発室ではなく、大企業に部品を提供している下請け、孫請けの町工場だったのです。大手メーカーはその先端の技を標準化し、組合せ、自動化することで付加価値の高い製品を生産してきたと言ってもよいと思います。

ところがリーマンショック以来極端な低コスト化の圧力に押された大手メーカーは、これまで国内の下請け企業と共同で築きあげてきた生産技術を、コストの安い海外に移転せざるを得なくなったのです。

その流れが本格化した頃、政権が自民党に戻り、アベノミクスで企業の売上が伸びて来たので、これまでの海外移転によるコスト削減と相まって自動車を中心とした大手メーカーは空前の利益上昇の状況となってきました。

ところが悲惨なのはこれまで先端の技を提供しながら親会社の海外移転により売り上げの激減が続いている国内の「下請け企業」です。このままでは日本の技術力の供給源である中小のものづくり企業が消滅するだけでなく、いずれは供給源を失った大企業も衰退しかねません。

このあたりの事情はもちろん経産省も認識しているのですが、かといって動き出した流れを元に戻すわけにもいかず、そこで考え出したのが、下請けからの自立を目指して新分野の開拓に賭ける企業を支援することで、日本国内の産業基盤を下支えしようというアイデアです。

これは昨年度以降「国内立地推進事業」や「ものづくり試作開発」などの助成事業でもベースにあった考え方ですが、今年度は明確に「下請け企業」を対象として予算化したということです。

今回の公募は締め切りまで時間があまり残っていませんが、来年以降も続く可能性が高いので、「こういう制度があるなら利用を考えたい」という方は是非一度ご相談ください。

本記事は2013/11/25時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

旅人と 我が名呼ばれん 初時雨(松尾 芭蕉)

芭蕉44歳の作とのこと。ドラッカーの有名な問いかけの一つに「あなたは何をした人として記憶されたいか」がありますが、もし当時こう聞かれたら芭蕉は自信を持って「旅をした人」と答えたでしょう。そしてその通りの人として記憶されています。

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