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余っている補助金―使い切れない「商店街まちづくり事業」

2014/01/14

今年最初の助成金のテーマは「まちづくり」です。

まちづくり系の補助金や助成金というと「準備が大変なわりに公募期間が短い」という印象がありますが、昨年から今年にかけていつまでたっても予算が消化されないという事業があります。

昨年末の12月26日から第4次公募が始まった、経済産業省の「商店街まちづくり事業」がそれです。いつの予算の第4次かというと、なんと平成24年度補正予算の第4次なのです。

過去の公募を追いかけると、第3回の公募までは「平成24年度補正予算」という文字が事業名についていたのですが、さすがに今回はおかしいと思ったのか、年度表示を外したようです。

総予算は経産省のホームページの平成25年2月の記事に「200億円」と出ていました。また、採択結果も公開されているので追いかけてみると、第1回463件、第2回618件、」第3回261件の合計1315件が採択されています。

上限が1件当たり1億5000万円と特大の補助金なのですが、採択された案件のタイトルを見ると商店街の照明のLED化、または商店街への防犯カメラ取付でほぼ2分されており、たまに商店街の補修が混ざる程度です。どれもあまり費用がかさむ計画とは思えません。

恐らく1件当たりの申請額は1千万円前後なのではないでしょうか?だとすればこれまでの消化額は 1000万×1315件=約132億円で、まだかなり余っていることになります。

そう思って第4次の公募要領を見ていると、驚いたことに最後から2頁目の記事に「今後の公募予定」として4月、7月、10月の3回ものスケジュールが書かれていました。平成24年度の補正予算が平成26年度の後半まで使い切れずに残るというのです。

理由は、以前も解説した通り補助金の残り1/3を負担する人がいないことと、採択された後5年間の調査に係る負担が大きいことです。経産省のさすがにこのままではまずいと考えたらしく、第4次公募から対象となる事業の間口を広げ、『今回から子育て支援施設、高齢者向け御用聞き型宅配サービス施設、除雪対策設備、決済システム機器等の整備も対象となります。』と、ホームページ上でアピールしています。

実は、さらに平成25年度予算でも8月から公募されている商店街支援のための「地域中小商業支援事業」とう補助金が、なんと3回も締め切りが延長されて現在1月31日締め切りとなっています。これら予算を積んでも使いづらくて消化できないというまちづくり系の補助金は、そろそろ見直してもらわないといけないかもしれません。

但し別の視点から見れば、資金調達等の体制を整えるのにたとえ半年かかったとしても7月の公募に間にあうので、かなりの確度で補助金が手に入ると考えることもできます。当社はそのような気の長い方にもお付き合いいたしますので、テーマをお持ちの方は是非ご相談ください。

本記事は2014/01/14時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

凩や広野にどうと吹起る (与謝 蕪村)

あまり有名な句ではないと思いますが、自宅とオフィスの関係から北に向かう帰路の自転車では、少し開けた場所に出た時の凍えるような向かい風は結構つらいものがあります。「どうと吹起る」と捉えた蕪村に共感しました。