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民間助成金人気の秘密

2014/04/21

今回は、政府予算ではなく民間の、三菱東京UFJ技術育成財団によるベンチャー企業向け「研究開発助成金」の人気の秘密を解説します。

「人気」の状況ですが、まずこの事業が昭和58(1983)年から途切れることもなく30年以上も続いていること。

長さだけでいえば民間助成事業の一方の雄、昭和43(1968)年から45年以上続く「新技術開発助成金(新技術開発財団)」に譲りますが、昭和58年といえばまだ銀行大再編の前、現三菱東京UFJ銀行がまだ4つの都市銀行に分かれていたころです。

(直接関係ありませんがオマケです)
http://www.bk.mufg.jp/kigyou/company/profile/history.html

当時の三菱銀行の出資で始まった助成金は、その後の2回の銀行再編による大合併を潜り抜け今に至っています。恐らく東京銀行、UFJ銀行との2回の合併時に存続の可否が検討されたと思いますが、毎年200件近い応募が続くこの助成金を軽々に廃止するのは難しかったでしょう。

人気の高さはその倍率にもっと表れています。Q&Aで開示されているデータによれば、一時バブルの時代に倍率が10倍以下となることもありましたが、バブル崩壊後の20年間は平均競争倍率が15超えています。

それでは
【人気の秘密その1】前払い
・・・政府系の助成金が原則後払いであることと比べて、採択された直後に助成金が交付されます。

【人気の秘密その2】管理業務負担の小ささ
・・・助成金受領後は年1回の研究開発報告書を提出するだけなので、一般の助成金と比較して管理業務の負担が大きく軽減されます。

【人気の秘密その3】他の助成金との併願化
・・・Q&Aに「他の助成金を受けているということが、当財団の審査に影響を及ぼすことはございません。」と明記されています。これは政府系の助成金では決して許されておらず、民間の新技術開発助成金ですら併願不可とされていることと比べて大きな特徴です。

【人気の秘密その4】財団による500万円の株式保有
・・・助成金による開発が完了した後、財団から500万円までの投資(ただし議決権の過半数未満)が受けられます。そもそも設立5年目までのベンチャー企業が主な対象なので、一般の中小企業と異なり都市銀行系からの投資は他の投資機関からの投資の呼び水となって有利と考える経営者も多いのではないでしょうか?

ただ一つ、助成金の上限300万円、助成率1/2という枠が、新技術開発助成金の各々2,000万円、2/3と比べてかなり見劣りするようですが、実は創業まもないベンチャー企業にはかえって1,000万円単位の開発費は負担が大き過ぎることが多いのです。

また1/2という助成率の低さも、事業完了に続く500万円の投資まで視野に入れれば逆に新技術開発より魅力的かもしれません。

かくして今回も15倍を超える競争率が予想されます。応募される方は申請書をしっかりブラッシュアップしてください。

本記事は2014/04/21時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

野に蜜の あふれて村の ひるねどき (桂 信子)

このところ忙しく、休日も昼寝などできない状況が続いていましたが、昨日の午後は久しぶりにうたた寝しました。溶けていくようなまどろみの瞬間は確かに蜜の味です。