目指すは2030年。気宇壮大な委託事業。
前回に引き続きNEDOによる公募事業をご紹介します。委託事業「エネルギー・環境新技術先導プログラム」です。
NEDOのホームページの「概要」に「省エネルギー・新エネルギー・CO2削減等のエネルギー・環境分野において、2030年以降の実用化を見据えた革新的な技術・システムの先導研究を産学連携の体制で実施します。」とあります。正直言って読んでびっくりしました。
2030年といえば15年以上先です。これはお役所の常識では考えられない「超未来」なのです。何故かといえば、1案件の上限1億円(NEDO負担100%)、年間総額20億円というこの事業の予算を決済できるクラスの関係者は15年後には全員リタイアしていて、事業の成果があってもなくても、定年までのキャリア評価に間にあわないから。
この事業は当初、春と秋の2回の公募を行う予定であったとのこと。ところが実際には今回8月25日に公開された公募1回に変更されました。今年度が初回の事業では他にも当初予定から3ヶ月以上遅れたものがありましたが、本事業も環境整備にかなりの時間を要したものと推察します。
今回の「エネルギー・環境新技術先導プログラム」については研究開発を行う事業期間そのものは原則採択決定後1年間であり、その期間が終了した後の5年間はNEDOによる「追跡調査・追跡評価」を行うとされていて、かなり精密に経過を追うようです。
とは言え、2030年以降の実用化がテーマであれば、5年程度の期間では明らかに実用化に資する成果が出せるとは思えません。継続中か?中断したか?あるいは実用化の可能性が高まったか?がわかる程度でしょう。予算を出す方としては結構大胆な決断だったと思います。
裏事情の話題が長くなりましたが、最後に応募者に求められている要件についてこの事業の特徴に触れます。それはPM(プロジェクトマネージャー)という、これまであまり見かけない役割です。
PMは自身が提案する先導研究の推進に取り込むことを原則としていますが、大きな特徴は1年間の事業期間中、現在の業務と兼務する形でNEDOの嘱託雇用者として契約を結び、月1~2日程度NEDOから課せられた業務を行うよう求められる点です。なんとその業務には1日当たり5万円の嘱託手当が支払われるのです。
業務内容は、携わる事業の国家プロジェクト化のための企画検討、会議の主催、関係機関への働きかけ等であり、成果の外部発信や知財戦略検討も含まれています。さらに自ら提案した研究開発テーマ以外に複数のテーマを担当する場合もあるとの説明です。
このようにかなりユニークな事業ではありますが、世間の注目は高いようで、9月初旬の説明会はあっという間に埋まりました。高倍率が予想されるため、9月25日と10月中旬の2回に分けられた提案期日をうまく利用して、公募側の目的に十分応える、内容の濃い提案を行ってください。
季節の俳句
白露に阿吽の旭さしにけり (川端 茅舎)
この「しらつゆ」と二十四節季の「はくろ」は、漢字が同じなのに1月以上季節がずれている印象でした。句の朝は既に冷気を感じるのに、暦の白露は残暑が厳しいことが多かったので。今年に限り、ピッタリとはいきませんが、少しだけずれが縮まったようです。
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