「地方創生」につながる地域支援事業
今回は商店街の活性化予算です。事業名は「地域商業自立促進事業」。今年2回目の公募です。
実は商店街等地域の活性化事業は、これまでも多くの種類が行われており、寿命の長いものも多いのですが、今回の「自立促進」事業は今年度新規に60億円の予算を振り当てられた事業です。
事業内容を見る限り、使用目的は地域商業活性化のための「調査分析」、「コミュニティー形成」、「ソフト事業」、「ハード事業」等、これまであった他の事業とあまり変わらず、わずかに「商店会社の新陳代謝」ということばが珍しい程度ですが、実は他の事業と比べて少々特徴があります。
それは「補助事業実施場所」、つまり対象となる事業を行う場所及びそこにある設備です。公募要領の文言をそのまま引用すると「『商店街』の体をなしているところ」と、表現されていて少しギョっとします。
例として「共同店舗」や「テナントビル」といった地域コミュニティーが形成される場所や、「問屋街」、「市場」等の、不特定多数の消費者相手であっても継続的に営業が行われている場所が挙げられています。
「体をなしている」という、いささか失敬な感じを受ける言い回しが何を示しているかというと、要するに「中心市街地」でなくとも良い、ということです。この「中心市街地」とは、「コンパクトシティ」ということばとセットで、平成18年交付の「中心市街地活性化法」という法律の中で使われている言葉です。
「中心市街地活性化法」が目指すのは、都市機能を各地の中心となる市街地に集中させて、その地域の機能向上と行政サービスのコスト削減を図るというものですが、裏から見ればいわゆる「限界集落」に代表される過疎地から、コスト高の行政サービスを撤収させるという「切捨て」でもあるのです。
「中心市街地活性化法」の推進母体は国土交通省であり、一時は経済産業省の予算であっても地域活性化関連の補助事業は「中心市街地」に該当する地域でなければ対象としない時期もあったのです。
ところが、東日本大地震以降、人々がどれだけ土地に愛着を持っているかが再認識されたころから、地域切捨てなど現実にはそれほど簡単に進められないことが実感されてきたのではないかと思います。
一昨年から始まり、年々規模が大きくなる「にぎわい補助金」には中心市街地の縛りはなく、今回の「地域商業自立促進事業」も、やはり消えるに任せるのではなく、今生活している場所を何とか活性化し、子育てができる環境に復活させるために予算を廻すという流れがでてきています。
安倍政権が大々的に打ち出した「地方創生」はこの流れから生まれ、来年度予算で増々その傾向が顕著にされるのであろうと思います。もうすぐ始まる国会審議と予算編成で、来年度以降の地域活性化補助予算がどのような形にまとめられるのか、事業環境が関わっている弊社としては大変興味深く眺めています。
季節の俳句
秋晴れの どこかに杖を忘れけり (松本 たかし)
前五で切ったのは、こちらの勝手な好みです。秋晴れを無心に見上げていたところ、ふとどこかに杖を忘れたことを思い出した、と理解したいのです。たかしの、この力が抜けたところが好きなのです。
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