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中小ものづくり支援に、総額9750万円
2016/04/25
今回は、この時期毎年公募されている「サポイン」(経済産業省による「戦略的基盤技術高度化支援事業」)について解説します。
この事業は開始から10年目になりますが、2014年、2015年とかなり大きな見直しが行われてきました。簡単に振り返ると
- 2014年5月の公募では採択企業の補助率が100%から2/3への減額、さらに22分類されていた「戦略的基盤技術」の11分類への再編があり、大変革の年でした。
(参考記事:コンサルタントの視点「サポイン大変身!」) -
そして2015年5月の公募では12番目の技術分野「デザインに関する技術」が追加され、「プロダクトアウト」の性格が強かった戦略的基盤技術に「マーケットイン」の考え方を導入する動きがありました。
(参考記事:コンサルタントの視点「サポイン9750万円、今年の変化」)
今回の公募についてはこのような大きな変化はないので、この機会に「事業管理機関」について少し深掘りすることにします。
「サポイン」の応募申請についてはいくつかの条件がありますが、主な条件の一つに申請者チームの主幹である「事業管理機関」の参加があります。「事業管理機関」の定義は「国との総合的な連絡窓口を担い、補助事業の遂行・経費管理における責任を有する」ものとされています。
では実際の「事業管理機関」とはどのような機関でしょうか?過去の採択者リストを見てみましょう。例えば中小企業庁による平成27年度のサポイン採択者リストを見れば、一番多いのは技術系の「公益(一般)財団法人○○県○○○」等の機関です。
他には各地域の国公立大学であったり、研究開発の中心である「法認定中小企業」が兼務したりしている場合もありますがどちらも数的にはそれほど多くありません。
そして都道府県単位で、もう少しつぶさに見ていくと、同一の機関がその地域の大多数の採択チームの「事業管理機関」を兼務している様子がわかります。東京都の場合は採択件数が多く複雑ですが、地方の自治体ではこの傾向は明らかです。
例えば大阪府の場合、全12件採択の内7件の事業管理機関が「一般社団法人大阪科学技術センター」であり、新潟県などでは採択4件の事業管理機関がすべて「公益財団法人にいがた産業創造機構」となっています。
なぜこうなっているのか?実は「事業管理機関」の役割がかなり重たいという事情があります。まず事業管理機関にはサポイン事業に必要な総額1億円近い資金調達の役割がありますが、それ以外に、チームメンバーである企業や研究機関による物品の購入や人件費の管理を監督して補助金を受け取るための条件を整えるという役割もあります。
さらに、資産となる設備は事業管理機関の所有とするルールがあり、チームメンバーの企業等に設置した設備であってもその資産管理を行い、固定資産税まで支払わなくてはなりません。
サポインが始まった10年前には、アメリカに倣って各大学が学内の特許技術を民間企業と組んで事業化する目的で、学内に立ち上げたTLO(技術移管機関)や産学連携部門が事業管理機関となってサポインに応募する例が多く見られました。
しかし、実際に担当してみるとその業務負担に耐えられず、後年次々とその役割を返上し、今では事業管理機関を引き受ける大学はまれな例となってしまいました。
これらの大学の中には事業管理機関を引き受ける部門を株式会社化して独立させた例(東京電気通信大学から独立した「株式会社キャンパスクリエイト」、横浜国立大学、横浜市立大他が出資している「よこはまティーエルオー株式会社」等)もありますが数はわずかです。
そこで代わりにその役割を引き受けることになったのが、公的な立場で地域の技術開発を支援する各都道府県の「公益(一般)財団法人○○県○○○」だったという訳です。
そして他に受け手がないため、これらの法人はサポインの公募があるたびに複数のチームから事業管理機関になるよう依頼があり、法人側でもそれに対応できる体制を徐々に強化してきました。
そして現在では1回の公募に10件近い案件を指導し、かなり高い確率で採択に導くサポインの専門機関ともいえる法人が各地域に存在するようになったのです。
という訳で、応募に向けてこれから事業管理機関を探すという方は、平成27年度のサポイン採択リストの中から、地域で実績がある事業管理機関を確認するところから始めてください。
(参照:中小企業庁 平成27年度戦略的基盤技術高度化支援事業 採択一覧)
本記事は2016/04/25時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。
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