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中小やベンチャー等の医療機器分野への新規参入を支援

2018/02/05

今回はAMEDによる平成30年度「医工連携事業化推進事業」をご案内します。この事業は前回29年度の公募の際もご紹介し、その中でAMED(国立研究開発法人 日本医療研究開発機構)について設立の経緯も含めて少し詳しく解説しました。

ただ、前回は事業自体を説明するスペースが少なくなってしまったので、今回は事業の内容を中心にご案内します。この事業はAMEDが設立された平成27年の初回から数えて4回目となり、事業の目的や対象となる研究開発のテーマはしっかりと定着したようです。

例えば対象となる戦略的実用化課題が、「医療費削減効果」「海外市場の獲得」、または「国産医療機器市場の拡大」3つであることや、実用化課題として指定された重点5分野が28年度以降変化していません。

戦略的実用化課題の筆頭が「医療費削減効果」であることは保険料の増加を抑えたい政府としては当然でしょう。保険点数当りに換算した医療効果が高い医療機器を開発する方針は分かり易いです。

そして「海外市場の獲得」「国産医療機器市場の拡大」については、技術力はあるのに海外で勝てない日本の医療機器の状況、及びそれと呼応した海外メーカーに席捲されている日本の医療機器市場という、同根の問題が見えてきます。

また実用化課題の重点5分野「手術支援ロボット・システム」、「人工組織・臓器」、「低侵襲治療」、「イメージング」、「在宅医療機器」とされ、世界で通用する日本のものづくり技術が活かせる分野が選ばれています。

ただし、テクニカルな部分ではまだ改良の余地があると見えて、昨年度と比較して公募要領に若干修正が見られます。見た目の大きな変更点としては補助対象上限額に「直接経費」の金額のみが記載されている点です。例えば2年度目以降に臨床治験を行う場合、年間上限額「1億円」と記載されていたものが「7,692万円」となりました。

なんだか中途半端な金額に思われますが、よく見ると前回まで合算して記載されていた「間接経費」が今回は含まれていません。間接経費は直接経費の最大30%まで認められていますので、7,692万円×1.3=1億円実際は昨年度と同様、という意味です。

では、なぜわざわざ間接経費を見せない、わかりにくい表現にしたのでしょう。理由として、事業主体が民間企業である場合、機関のルールで間接経費の割合が決められている大学等の研究機関等と異なり、間接経費を自由に圧縮できるという事情があります

実際、ご支援先の昨年の例では、間接経費は30%以下というルールを利用して0%とし、その費用を直接経費として計上して採択された例がありました。そこで今回から平等を図るために直接経費を上限で抑え、間接経費枠から流用できなくしたと考えられます。

かと言って、間接経費を30%の上限まで計上しておけばお得と考えるのは早計です。AMEDの間接経費に関する必要性の審査はかなり厳しいと聞いています。使い道がしっかりしていないと、採択時に予算として認められても事業終了後の確定検査で削減される可能性があります。

ということで、直接経費も間接経費も、応募の際はしっかり精査して積算してください。

本記事は2018/02/05時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

立春のいるだけの猫みなぴかぴか  (宇多 喜代子)

名のみとは言え春立つと聞くと心に陽のぬくもりが宿る気がします。この句はその気持ちを猫に投影したのでしょうが、「ぴかぴか」が秀逸と感じました。