産学共同の研究開発を支援 A-STEP
3月15日からJST(国立研究開発法人 科学技術振興機構)のA-STEPシリーズが始まっています。特許等の技術シーズを有する大学等の研究者が対象の「試験研究タイプ」、大学等の研究者と連携する企業が主体の「シーズ育成タイプ」及びベンチャー企業が大学等のシーズの実用化を目指す「NextTEP-B」の3本立てです。
今回は大学等が持つ技術シーズの可能性及び実用性を、企業と大学の研究者共同で検証する「シーズ育成タイプ」について、その特徴をいくつか説明します。
まず、このタイプに適した技術シーズのフェーズについて。大学等の研究者による技術シーズが顕在化していることが条件で、そのシーズに「実用性があるか?」を共同研究者である企業が検証することが目的とされています。
表現が分かり難いので書きなおせば、大学の研究者が発明して特許出願した技術について、共同で研究開発を行う企業が売れる製品や利益が出るサービス等の事業化に結びつけることが可能か否かを検証するための研究開発という意味になります。
従って、検証した結果「事業化は困難でした」という結果もありえるはずなのですが、公募要領上は「支援終了後には、企業において実用化に向けた研究開発を継続」することを期待するとされていて、実用化が難しいテーマは選ばないとの意思表示のようです。
次の特長は、JSTの研究開発資金に対する支援形態がマッチングファンド方式であり、採択企業とJSTの双方が資金を持ち寄って研究開発を行うという考え方で、通常の補助金のように採択企業が負担した開発費の一部を払い戻す方式とは異なります。
具体的には、企業が支出する資金にマッチング係数(資本金10億円超は2、10億円以下は4)を乗じた金額をJSTが「委託研究開発費」として提供するということで、その金額の上限が5億円ということになります。
計算の早い方は、「ん?結局補助率が2/3や4/5の補助金と同じ?」と思われるかもしれませんが、「委託費」とは本来JSTが行う研究開発を企業に委託する際の費用であるため、JSTが負担すべき消費税もその費用に含まれるのです。
「補助金」では事業経費に伴う税金は補填しないので、消費税の8%(将来の10%)を含む支援は決して小さな金額ではありません。さらに、補助金では一般的な事業完了後の清算支払いではなく、4半期ごとの概算払いも行われるため資金調達の負担も少なくなります。
ただし良いことばかりではありません。JSTの研究開発を受託する形となるためJSTとの間で委託契約が必要となり、補助事業と比較してより厳しい管理が求められます。
また委託費で購入した機械装置等の固定資産はJSTの所有となり、事業終了後は最終的に企業が残存簿価で買い取るルールなので、装置等はできる限り自社の開発費枠で購入するなどの工夫も必要ですし、枠からあふれた資産があれば後日買い取る他ありません。
以上のような少々複雑な事業の特長に加え、JSTが昨年来のスパコンに絡む補助金詐欺事件での一方の「被害者」的立場に立たされていることにより不正防止関連の文書量が増加しています。応募される方は腰を据えて公募要領を読み通す時間を確保してください。
季節の俳句
書き出しの躓いてをり 春眠し (稲畑 汀子)
今年の春は何故か昼食後睡魔に襲われることが多く、掲句のようにあきらめてオフィスの椅子で仮眠をとってしまうこともあるのですが、後の仕事がはかどるという実感もなく、困ったものです。
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