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M&Aタイプの事業承継への支援事業

2018/07/09


平成29年度補正予算による事業承継補助金の「事業再編・事業統合支援型」
の公募が始まりました。いわゆるM&Aタイプの事業承継への支援です。

5月にご紹介した同じ事業承継補助金の「後継者承継支援型」(経営者交代タイプ)と併せて、経営者の交代を軸にした事業承継のパターンのほぼすべてをカバーすべく、中小企業庁が知恵を絞った様子がうかがえます。

補助金の上限額をみると、経営者交代タイプでの最大500万円からM&Aタイプでは1200万円と2倍以上の差はありますが、中小企業庁が対象として考えている応募者の事業規模は、M&Aタイプでも小規模事業者が中心と思われます。

また事業承継を行う期間が平成27年4月から平成30年12月31日とされていることから、既に事業承継が完了しているか、関係者全員がかなりの詳細まで合意しているケースが対象となっていることが分かります。

「事業承継補助金」というタイトルからは廃業ではなく事業承継への選択を促す補助金と思いがちですが、実際には過去3年間の間に事業承継を行ったかほぼ完了に近づいた企業に、残りの半年で経営革新を促すことを目的とした事業なのです。

そう考えて公募要領に示された事業目的を読み直せば、「事業再編、事業統合を契機とした経営革新等を行う中小企業者等」を支援するとあるのは「事業継承を行う」ことより「経営革新等」に主眼があることが分かります。

という訳で、ここからはすでに事業承継が完了していて、今年中に経営革新を実現したいという方への補助金獲得のためのアドバイスです。

まず、この事業では「対象となる補助事業者」の条件がかなり微細にわたって規定され、条件に適合することを示すためにかなりの量の書類が求められていることが一つの特徴ですが、面倒がらずにしっかり対応することが重要です。これができないとリングに上がれません。

リングに上がったあとの競争に勝ち残るために重要なカギとなるのは、審査基準に示されている事業の独創性、実現可能性、収益性、継続性、相互作用性という評価基準と、具体的に6項目が示されている加点項目です。

これらにしっかり対応するには、まずこれまでの事業承継の過程で審査基準に該当する要素を明確に洗い出すこと。例えば「前経営者の時代の顧客に対して事業方針をしっかり説明したことで収益性と継続性が確保できた」といったことです。

そして次に、これから挑戦する経営革新等の優位性を具体的に描写すること。例えば合併した2つの企業の強みを合わせた独自の新サービスで競争優位を獲得するような計画を、経営分析の手法を用いて明確に描いて見せる必要があります。

最後に、「採択順位が上位の場合は上限額、補助率を優遇する」という、優遇措置について一言。

採択順位の上位を決める基準が公募要領のどこにも示されていないので、事務局に問い合わせてみました。しかし、上位か否かの判定が絶対的か相対的かなどを含め、審査委員以外にはなにも知らされておらず、事務局でも把握していないとのことでした。

従ってこれから申請に臨むにあたっての考え方としては、「採択順位」についての認識を「幸運を祈る」程度にとどめ、上位か否かではなく採択されることに的を絞って臨んでいただけば良いと思います。

おまけです。

中小企業庁としては後継者不在問題による黒字廃業の増加を問題視しており、このような廃業を減少させるために税制として今年度から納税猶予など事業承継のリスクを減らすための大きな改善が行われました。

しかし補助金については今回のように事業承継を済ませた企業への支援が中心です。補助金でも「廃業を思いとどまったら支援」といった事業があるといいですね。

本記事は2018/07/09時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

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鷹羽の百日紅第2弾です。百日紅は夏の季語ですが、句はさらっとしていて涼やかです。宇宙の時間ではほんの一瞬でしかない今生で、偶然に出会った紅白の百日紅。それを目撃している作者自身の無常観。