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アプリ開発の助成金

2019/02/18

日頃の色々なご相談の中で、「スマホに載せるアプリの開発に補助金を使えないか?」とのお問い合わせを時々頂きます。しかし残念ながら、新サービス開発を対象とする補助金であってもこの分野は対象外となることが多く、なかなかお役に立てない状況です。

とはいえ、スマホやタブレットPC用のアプリ開発を対象とした補助金は皆無というわけではなく、今回ご紹介する国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)による「情報バリアフリー事業助成金」もその一つです。

事業の概要は「身体上の障害のため通信・放送役務を利用するのに支障のある人がこれを円滑に利用できるよう、通信・放送役務の提供又は開発を行う民間企業を支援する」とされています。

この事業自体は平成13年からすでに18年間も続いて、助成金事業としてはかなり長い歴史があります。事業の状況について、あまり初期の頃の情報は参考にならないのでここ5年程の状況を見てみました。

この助成金は助成率が1/2で上限額の記載がありませんが、公募ページのQ&Aでは「過去の平均は1件当たりおよそ8百万円です。」とあります。実際に公開されている過去の全実績のうち、平成30年度までの5回の助成金支払い額と採択件数から1件当たりの平均を計算すると、約778万円となりました。

年ごとの平均額も確認しましたが、最高で785万円、最低で709万円です。助成金額では750万円、事業総額では1500万円程度の提案が多いようです。

5年間の応募総数は38件、採択件数は26件で採択率は平均68%とかなり高く、年ごとのばらつきもそれほど大きくないようです。そして過去10年程度の採択者名をたどってみると、同じ会社が2~3年続けて採択されている場合がありました。

このような場合の事業内容説明を見ると同じ資料が使われていることから、一つの試作開発テーマを複数年かけて取り組むことが可能と考えられます。

そして、開発内容にはスマホやタブレットPCにインストールしたアプリを使って提供するサービスも含まれているので、この分野のプログラム開発が得意な企業でも助成金を使った開発に参加できます。

ただし、前述の通り目的は身体上の障害のある人が通信・放送役務を円滑に利用するためであることから、例えば音声をスマホ経由で文字に変換して読める形にする聴覚障害者向けのサービスといった開発が対象です。

当然ながら身体障害者の方が求めるサービスは多種多様であり、広く共用できる汎用性の高いサービスは難しいため、どうしても市場規模は小さくなります。自身が持つ技術を、利益ではなく社会貢献のために使いたいという方にお勧めの助成金事業かと思います。

本記事は2019/02/18時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

春光をまとひたるより未来あり (稲畑 汀子)

素直に前向きな句で、春の光にふさわしいと思います。このような句が照れずに作れれば良いのですが、やってみるとなかなか難しいものです。