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連携する中小の設備投資を支援

2019/05/13

5月8日が締め切りの「ものづくり補助金」の正式名称は「平成30年度補正 ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」だったのですが、今回は4月23日に公募が開始された「平成31年度 ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」をご紹介します。

似たような名前でややこしいので従来型の「ものづくり補助金」と区別するために、ここでは「ものづくり連携補助金」とします。経済産業省の枠組みでは後者は前者の一部とされています。

先日終了した「ものづくり補助金」は従来同様平成30年度の補正予算枠ですが、「ものづくり連携補助金」は平成31年(=令和元年)度の当初予算です。つまり、これまで延々と補正予算枠であった「ものづくり補助金」の一部が当初予算に「格上げ」された形です。

「格上げ」としたのは、「補正予算」が本来想定されていなかった国民生活の状況変化に対応する緊急性の高いものの年度限りの予算であるのと異なり、「当初予算」は国家戦略に係る予算であり、継続性が期待できるので、霞が関的にはランクが高いためです。

もちろん申請する企業の立場ではそんなことはどうでも良くて、今年については「ものづくり補助金」にチャレンジする機会が増えたことが重要でしょう。終了した「ものづくり補助金」では環境の整備が間に合わない等の理由で断念した方も再チャレンジできます。

また応募できなかった人だけでなく、5月8日までに申請できた人でも条件を満たせば再チャレンジできるのです。ということになるとその条件が重要ですが、実は少々面倒臭いのです。

まず「連携」が付いているだけに1者では応募できないこと。2者以上10者以下の企業が共同で申請する必要があります。

次に〈ものづくり技術〉と〈革新的サービス〉という2つの対象類型があることは「ものづくり補助金」と同じですが、各々に「企業間データ活用型」「地域経済牽引型」2つの事業類型があります。

このうち「企業間データ活用型」とは複数の中小企業者等が、事業者間でデータ・情報を活用(共有・共用)し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性の向上を図るプロジェクトですが、メンバー間で売買される物品やサービスは対象になりません。

また受発注や技術開発、顧客管理等の企業の基幹業務に関するにデータを共有するということは一朝一夕には実現できないので、すでに相当の期間にわたって企業間の業務連携が構築されている状況がないと難しいと思われます。

逆に、すでにそのような関係ができている企業グループが、システム化を推進することが可能な環境があれば、今回の「ものづくり連携補助金」では競争相手が少ないという意味でも大変貴重なチャンスなので是非応募してください。

一方そのような環境ができていないという方は「地域経済牽引型」がお勧めです。このタイプは地域未来投資促進法に基づく「地域経済牽引事業計画」を共同して作成し、その承認を受けるという条件を満たさないと応募できないので一見よりハードルが高そうですが、実はそれほどでもありません。

「地域経済牽引事業計画」の内容は、地域の自治体が策定した「基本計画」に即した、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域経済への波及効果をもたらすプロジェクトのことですが、これを初めて聞いた方には理解しにくいかもしれません。

ですが、地域の複数の企業が参加する計画であればこれから「ものづくり連携補助金」に提案する事業計画の内容を「地域経済牽引事業計画」の様式に合わせて表現するうえで概ね流用出来ます。

なぜなら「ものづくり連携補助金」の応募条件のひとつが付加価値額を年率3%以上向上させる計画であることとされているので、その点が「地域経済牽引事業計画」の目的と重なるからです。

とはいえ、「地域経済牽引事業計画」については背景となる地域未来投資促進法を理解する必要があります。残念ながらここでは詳しく解説するスペースはありませんが、実は今そのための情報を集めたウェブページを準備中です。公開したらお知らせしますので、ご興味ある方は是非ご覧ください。

本記事は2019/05/13時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

薔薇剪つて手づから活けし書斎哉 (正岡 子規)

バラという花はそれ自体が豪華で自足しているためか、季語としては捻った使い方をされることが多い気がします。でも子規のこの句の薔薇は、花数は少なく、色も白ではないかと思われ、大変質素な印象です。活け終えた書斎の空気の閑けさに惹かれる句です。