ものづくり補助金、中小企業がより申請しやすく
先週はとうとうWHOからパンデミック宣言が出され、日本でも各省から新型コロナウイルスの影響を緩和するための支援策が続々と公開されています。
弊社の専門分野である中小企業支援策では従来からの補助金などに対し、新型コロナウイルスの影響を受けた企業への優遇策が織り込まれることが多くなってきました。
そんな中、3月10日からものづくり補助金の第1次締切(3月31日)分に対する公募が始まりました。
対象は「一般型」のみであり、以前にお知らせした「グローバル型」と「ビジネスモデル構築型」については依然として詳細が不明です。
それでも公開された情報ではかなり大きな変化が見られます。そのうち「給与支給総額計画不達による補助金返還」や「重複採択に対する減点要件」などは前回記事でお伝えした通りですが、それ以外にも要注意の部分があるので今回はその辺りを解説します。
注意その1:「100%電子申請」
もし第1次締切に応募される予定であれば、何より至急対応しなければいけないのは、電子申請への準備です。100%の電子申請自体は前回の公募から始まりましたが、今回からその申請ツールが「Jグランツ」に変更になりました。
(参考:Jグランツウェブサイト「申請の流れ」 )
「Jグランツ」の詳細については上記リンク先から確認していただきたいのですが、本電子申請を行うためのID(GビズIDプライムアカウント)を取得するには印鑑証明を含む紙の申請手続きが必要で、それには最大2週間を要するため、すぐに申請してください。
注意その2:「通年公募」と「事業期間」
通年公募については第1次締切の後、5月、8月、11月、2月と、合計5回の締切が設けられます。回数が多いことも驚きですが、ポイントはいずれの回でも採択後の事業期間が10か月確保されるという点です。
過去には、夏頃に2回目の公募が行われる場合が多くありましたが、採択後の事業期間が4、5か月しかなく、通常、納品までに半年かかるような設備では納期が間に合わない事例が頻発しました。経済産業省にも第2次公募の事業期間が短いとのクレームが多かったようです。
また、これまでは「ものづくり補助金」のための単独予算として700億円から1000億円程度の枠を確保する形であったことから、初回の公募で採択が多かった場合、第2次公募では予算不足で競争率が高まったこともありました。
今回は「ものづくり補助金」に加え、「IT導入補助金」、「小規模事業者持続化補助金」の3つの補助金を「中小企業生産性革命推進事業」として全体で3600億円の予算を確保し、その中で予算を融通する仕組みに変更したとのこと。
これらの変更により、応募の時期が遅れるほど予算が減る、あるいは公募そのものがなくなるという心配はあまりしなくてよいようです。自社の経営にとって最も適切な時期を選んで、じっくりと準備して応募するのも一案です。
逆に、初回が不採択の場合でも事業計画のブラッシュアップの機会ととらえて次の締切に臨むという考え方もありかと思います。いずれにしろ、これまでの「ものづくり補助金」と比べて自由度が増えたと考えます。
注意その3:「不適切な行為」の排除
補助金申請の代行に関わる「不適切な行為」の排除の方針が明確になりました。今回の公募要領には2頁目に、「外部の支援を受ける場合には、(略)高額な成功報酬等を請求する悪質な業者等にご注意ください。」との文を含む注意書きが太字で記載されています。
加えて、認定支援機関を含む外部の支援を受けて申請をした場合は、その支援者名と支援金額を申請書に記載することになりました。
「今後、申請支援の実態に関する調査を実施する」とされているので、その情報が、今回直ちに採否に影響するとは思えませんが、例えば10%を大きく超える成功報酬を条件に申請書の作成を丸投げするといった形での申請は避けるべきでしょう。
今回のものづくり補助金で変更されるポイントは他にも多くあり、それは公開された公募要領(概要版)の1ページ目に上手にまとめられているので、是非ご確認ください。
それにしても、この概要版はよくまとまっています。ものづくり補助金が始まって早8年目。このような資料が提供できるようになったことも一つの変化かもしれません。
季節の俳句
お彼岸のきれいな顔の雀かな (勝又 一秀)
お彼岸だからといって雀の顔が変わったりしませんが、この句は、もちろんお彼岸の頃の、しかも朝の光の変化について洒落てみたのです。光だけでなく、花を待つ気分も伝わります。
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