中小・ベンチャー、宇宙へ!
このところの補助金のご案内では、毎回、特別枠だの特別対策だのと新型コロナウイルス感染症対策への支援の話題ばかりが続いていて、これからも当分続きそうなのですが、緊急事態宣言の解除も見えてきたことでもあり、今回だけは夢のある話題をご紹介したいと思います。
毎日、日本地図を上から見て都道府県の解除の推移ばかり眺める日が続きましたが、逆に空を見上げて宇宙開発を目指す助成金、2020年度「宇宙産業技術情報基盤整備研究開発事業(ベンチャー企業等による宇宙用部品・コンポーネント開発助成)」は如何でしょうか?公募機関はNEDOです。
宇宙好きの方であれば「アルテミス計画」をご存知かと思います。米国のNASAが、2024年以降、毎年、宇宙飛行士を月に送り、月面基地の建設や月を回る軌道での宇宙ステーションを建設する計画です。
米国は、各国に宇宙の平和利用や透明性の確保、緊急時支援や科学的データの共有、宇宙デブリ(ゴミ)の削減などを定めた「アルテミス協定」の締結を求めたうえで「アルテミス計画」への参加を募っており、日本はすでに2019年10月に宇宙開発戦略本部が参画方針を発表しています。
日本ではこれに先立って2017年5月に策定した「宇宙産業ビジョン2030」により、宇宙産業の振興に向けて、中小・ベンチャー企業等の新規参入を促進させると謳われており、「アルテミス計画」への参加はその後押しとなるでしょう。
という訳で、今回の助成金はその具体的な施策ということになります。ただし想定している応募者の中心が、これから宇宙産業への参入を目指している中小企業とベンチャーであることから、それほど大掛かりなものではありません。
公募要領にある事業内容は「人工衛星等の宇宙用部品・コンポーネントの開発に係る研究開発の一部」ということになります。そして補助金の上限も1,350万円×2年=2,700万円、補助率は2/3と、とこちらも中小企業が応募可能な範囲です。
目的は、「(略)宇宙機器産業の裾野を広げると共に、人工衛星等の高信頼性・低コスト化を実現し、我が国の宇宙機器産業の競争力強化を目指します。」とあるので、残念ながらNASAの月探査に使う部品の開発ではないようです。
日本や世界の宇宙関連機器として使える部品の開発といったことかと思います。従って評価項目の中に事業化に関する項目が含まれており、そこには国内の宇宙産業における「新規市場の創出」ということばも出てきます。
例えば医療分野ではかなり長い期間中小企業の新規参入を支援する支援事業が実施されており、最近はその予算も種類も増加しつつありますが、今回の事業は宇宙産業への参入支援の先駆けといえるかもしれません。
一方、残念なのはその予算です。公募要領には年間総予算2,700万円、つまり上限額の場合は2件分の予算しかないのです。これはきっと経済産業省が様子見との位置付けをしている金額であろうと考えます。
つまり、応募した研究開発テーマに多くの優秀な案件が集まれば来年度以降の予算を大きく増やす根拠とし、逆に応募者数や内容のレベルが期待以下だった場合は時期尚早と判断するのでしょう。
個人的には宇宙デブリの削減技術などに興味があるのでこの予算が大きく成長してくれることを期待します。これを機会に将来は月に持ち込む機器の開発にチャレンジしたいという方がいらっしゃいましたら、奮ってご応募ください。
季節の俳句
自由こそ最高夏の蝶飛翔 (東 康子)
この句こそ自由で素晴らしい。胸に湧いた思いを、句跨りを気にせずそのまま声に出したら、たまたま飛んできた喋々と鉢合わせしたようなハッピーなイメージが浮かびます。でもその後に、今の自由を得るために闘ってきた先人たちの長い長い歴史にも思い至り、その努力に感謝したくなりました。
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