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年内最後の事業再構築補助金

2021/11/01

これまでも何度かご紹介した事業再構築補助金の第4回公募が始まりました。

締切は12月21日です。第3回公募とは売上減少の対象時期が延長されたのは当然として、他に大きく変わったところはありませんが、いくつか注意すべき点があるのでご紹介します。

まず、本事業の特長の一つである「事前着手承認申請」、即ち採択されて交付決定を受ける前に契約・発注や支払が終っている費用も、特定の手続きをすれば遡って補助金の対象として認めるという仕掛けです。

これは4月30日締切の第1回公募の際に遡れる期限が今年の2月15日であり、第2回目以降はその期限が前倒しになるのではと予想したのですが、第4回目の今回に至っても期限が変わらず2月15日でした。

恐らく1~3回目に応募して不採択だった企業の再申請の壁を低くする考えかと思います。従って来年1月予定の第5回公募も2月15日の期限が維持されると思います。

ただし、今回から「事前着手承認申請」の申請方法が、メール添付から電子申請に変更になりました。申請のためのフォームはjGrantsの中に用意されているので、補助金本体の電子申請と同様「gBizプライムID」でログインすることになります。

次に、公募要領には申請書の書き方についての説明が記されていますが、「将来の展望」を書く際に参照すべきツールとして、今回、内閣府の「経営デザインシート」が追加されました。
・首相官邸サイト「経営をデザインする(知財のビジネス価値評価)」

第3回公募までは、参照すべきツールとして経済産業省による、鉱工業品約1,600品目を対象とした「統計分析ツール」だけが紹介されていました。これは対象となる製品の販売金額や生産台数のトレンドが調べられるツールです。

ただし、こちらは所謂ハードウエアが対象であるため、事業計画が新サービスであった場合は使えませんでした。今回追加された「経営デザインシート」は新事業がハードかソフトかに関係なく使えるツールであるのは新サービスの開発用なのかもしれません。

「経営デザインシート」の紹介サイトでは、動画を含めて初歩から応用まで莫大な資料が提供されており、本事業の申請書作成に利用するにはそれなりの時間が必要と思われるので、有効利用したい場合はある程度の負荷を見込んでチャレンジしてください。

ただし、その中で事例として紹介されている資料はお勧めです。眼鏡のJINSや小松製作所、日本ケーブルテレビ連盟、リクルートなど、誰でも知っている企業の「経営デザインシート」が実名で公開されており、なかなか見応えがあります。

最後に、第3回の違いと言えば当たり前ですが、採択結果のサイトに、第2回公募の9,336の採択者情報が追加されました。採択者名と事業名に加え、事業枠や事業の概要、現業の事業分類や市町村名まで含む所在地の情報までエクセルファイルにされています。

全項目でフィルタが使えるので、自社の地域や同業者などを自由にピックアップして確認でき、別ファイルで公開されている第1回公募の5,150の採択者の情報も併せて見れば、申請書作成にはかなり参考になると思います。

今回の第4回公募には、第1、2回の不採択を経て事業計画を練り上げてきた応募者が多く再申請されると考えられるので、応募される方は公募ページで公開されている資料をできるだけ有効利用して、クオリティーの向上に努めてください。

本記事は2021/11/01時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

星空へ店より林檎あふれをり (橋本 多佳子)

俳句というのは不思議なもので、作者も知らずにこの句を見た時連想したのは、ゴッホの描いたパリの街角の星空のカフェで、そのカフェの手前に並ぶ果物屋の情景でした。ところが、この句が多佳子による戦後間もない昭和24年の作と知ると、まだまだものが豊かと言えない薄暗い路地裏の闇市でそこだけが輝いで見える、果物屋のりんごの山に変わります。どちら正しいかではなく、2度楽しめて得した気分です。