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通信技術の研究開発をする中小企業を支援

2021/10/18

今回は経済産業省以外の「ベンチャー育成」のための助成金「革新的ベンチャー等助成プログラム(SBIR)」をご紹介します。

実施者は情報通信研究機構(NICT)、総務省傘下の国立研究開発法人です。

なお、経済産業省では「ベンチャー」から「スタートアップ」への言いかえが完了しましたが、本事業では「ベンチャー」を維持しているところなど、省庁間の意識が垣間見えます。

また、助成金名にある「SBIR」はSmall Business Innovation Research=中小企業技術革新制度という、内閣府を司令塔とした予算支出目標であることを示すワードですが、事業の内容とは直接的なかかわりはありません。

本事業は助成上限額が1億円、助成率2/3と、NEDOなどと比較してもそれほど引けを取らない金額ですが、通信業界を監督する総務省らしく、テーマは「Beyond 5G」です。

ところで、この事業は欧米だけでなく中国にも水をあけられてしまった5Gは諦めて、その先のBeyond 5Gを今から準備して将来の優勢を狙うという国の戦略に沿った助成金です。

「Beyond 5G」について詳しくはNICT のBeyond 5G研究開発促進事業のページで紹介されていますが、簡単にまとめると、以下の3つ事業の集合体です。

  1. 機能実現型プログラム:NICTが主導し、民間も参加する研究開発
  2. 国際共同研究型プログラム:先端的な要素技術の国際共同研究開発プロジェクト
  3. シーズ創出型プログラム:技術シーズ創出からイノベーションを生み出すプログラム
本事業は上記の3の一部であり、1と2が主にNICTの主導で行われるのに対して、幅広い多様な研究開発を支援することを目指すとのこと。

という訳で公募要領に示された事業の目的を要約すると「Beyond 5Gの研究開発での自由でアジャイルな取組を促す制度設計を踏まえた、事業化と一体的に行う研究開発を支援」するとされ、かなり自由度の高い事業に見えますが、実際はどうなのでしょうか?

まず助成対象者は法律の条文で規定された中小企業者ですが、産学連携が応募条件になっているわけではなく、単独申請が基本と考えて良さそうです。ただし、申請者は当然ながら通信技術に関する研究開発能力を有する企業に絞られるのは致し方ないでしょう。

助成対象となる経費の区分を見ると直接経費である物品費、人件費、国内外の旅費、外注費等の「その他」に加え、委託費と間接経費とされていて、ある程度柔軟な設定かと思いますが、「事業化と一体的」というわりに宣伝広告費までは含まれていません。

一方審査する際の基準が「審査の視点例」として示されています。要約すると、総合評価(Beyond 5Gとの整合性・事業性)、理念、革新性・優位性、実現可能性が評価されるとありますが、理念という補助金・助成金では一般的ではない言葉が使われています。

理念の内容を見ると「解決する社会課題が具体的に明示されているか」という部分が骨子のようで、「新事業・新産業の創出」ということばも使われています。

すでにサービスが始まっている5Gでさえ4Gとの違いがよくわからない現状の中で、どうやらBeyond 5Gによって何ができるのか考えて欲しいという政府側の期待を表しているような気がします。

このように見ていくと、応募のための条件や対象となる経費への縛りは多いとは言えず、そこそこ使いやすい事業のように見えますが、Beyond 5Gという技術を使ってどの様なすばらしい世界を描けるかという点が眼目のようです。

5Gについても、応用分野が自動運転、遠隔医療、VR・AR、スマートホーム、スマートオフィス等々多岐にわたる提案がありながら社会実装が進んでいない現在、Beyond 5Gで何をするのか?応募する側の柔軟な発想が求められる事業と思われます。

本記事は2021/10/18時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

火だるまの秋刀魚を妻が食はせけり(秋元 不死男)

脂ののった秋刀魚に火が移って大騒ぎをしていた妻が、その黒焦げの秋刀魚を自分に食べさせよったと今度は自分が騒いでいるという、いかにも新婚生活といった風情の句です。不死男は後に新興俳句弾圧事件で投獄され、作風の転機となったとの指摘もありますが、この頃の句は明るいですね。

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