ものづくり補助金の動向
ものづくり補助金の9次締切分が公募されています。
公募内容については既に何度か解説してきたこれまでの流れを踏襲しているので、今回は今後のものづくり補助金がどうなっていくのかを考えます。
前回の8次の公募で9次以降の予告はされていたものの、8次の締切である11月11日まで、ものづくり補助金の公募サイト内のスケジュール表に9次締切以降の予定が書かれていなかったことから、もしかしたら今年度は8次で終了かと思っていました。
しかしその締切日当日、9次の公募が公開されたので驚きました。締切が2月8日なので、予告にあったように今年度中にもう一度公募が行われるということです。
ものづくり補助金と事業再構築補助金については中小企業への新型コロナ感染症の影響が長引いていることから、来年度も継続するとの予告もありますが、予算の原資からみると「10次は9次までの延長」とはいかないのではないかと考えています。
その理由は、昨年から始まった新型コロナ感染症対策の一つとしての予算措置が来年度から変わるからです。公募要領の表紙のトップに「令和元年度補正・令和二年度補正」と書かれているのはお気付きでしょうか?
新型コロナ感染症がパンデミックであると認定された2020年の3月に公開された2次締切分からこのような年度の併記が始まり、いわゆる「コロナ特別枠」はこの2次締切分から導入されたのです。
年度併記の理由は、まず令和元年度の通常の補正予算と令和二年のコロナ新型感染症対策の特別補正予算の両方を原資としていること、及び令和二年度の補正予算の執行期限、すなわち令和三年度末(2022年3月)までをカバーする「年度またぎ予算」であるためです。
ここで、公募中の9次の締切は令和4年2月8日であり、今年度中の公募としては最後と考えられることから、4月以降に実施されるものづくり補助金は、12月6日から予定されている臨時国会で審議される「令和3年度補正」で確保されるのでしょう。
これについては11月26日に中小企業庁が令和3年度補正予算案のチラシを公開しており、ものづくり補助金については上限額の増加や新たな応募枠の追加が予告されています。もしかすると「10次」という回数表示も変わるかもしれません。
振り返ればコロナ禍以降のものづくり補助金に関するデータは経済産業省によってかなり分析されており、その一部が公式サイトの「データポータル」に整理されて公開されていますが、このデータを十分活用できるのは9次締切の公募が最後の機会かもしれません。
このサイトには事業別や従業員規模別など10種類のグラフと、各要素の採択者数と採択率が示されていますが、結論から言うと参照すべきグラフは「業種別採択率」と「加点数別採択率」の2つです。
「業種別採択率」ではほぼ安定して製造業系と研究開発系が他と比べて10ポイント程度採択率が高いこと(ただし、6、7次については建設業系も高採択率)、また、加点数別では明らかに加点数の多さと採択率が比例していることです。
業種については選ぶわけにいかないので、採択率が低い業種は申請書のクオリティーを上げるしかありませんが、加点については事前の努力で増やすことが可能なものもあります。
申請者の努力で獲得できる加点要素には「経営革新計画の承認取得」や「パートナーシップ構築宣言」、「事業継続力強化計画の認定取得」、「給与総額引上げ宣言」などがあります。
9次締切に応募される方は、締切まで約3か月を残す今から加点の積み増しに向けて準備をされることをお勧めします。
季節の俳句
山茶花の貝の如くに散りにけり (山口 青邨)
我が家の周りにはなぜか山茶花を植えた庭や小さな畑が多く、この季節になるとあの独特な赤味をあちこちで見かけます。ただ、他の花と違うのは花の盛りでも花弁が落ちるので、木の根元にも目が惹かれることでしょうか。掲句もそこに着目したのでしょう。
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