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民間・前払いの安定助成金

2022/02/21

今回は公益財団法人市村清新技術財団による「新技術開発助成」をご案内します。

109回目の公募となるこの助成金は、毎年2回行われるのですが、平成28年の補助率引き上げ以来、概ね内容を変えずに行われている極めて安定した事業です。

民間財団の事業で原資が税金ではないため、経費発生を証する領収書等のエビデンスが無くとも助成金支払いが可能なことから、採択後すぐに助成金の支払いが行われる「前払い」という点が最大の特長ですが、他にも次のような特長があります。

  • 助成金額の上限が2400万円、助成率4/5と魅力的
  • 政府予算ではないことから助成金対象に消費税が含まれる
  • 毎年安定して4、10月の2回公募があり、公募要領も変わらないことから準備に十分な時間がかけられる
以上は2020年にこの助成金を案内した際にもお伝えしましたが、その時公開されていた採択企業の事例30件の分析に基づき、この事業が「自社の技術を世の中に役立たせたいという熱意が高い研究開発志向の企業経営者」に適しているとの解釈も述べました。

このような分析が可能なのは、過去3年間、6回分の採択企業の内容がかなり詳しく公開されているお陰です。この助成金に興味があるが、採択される可能性が気になるという方は、是非自社の技術に近い事例だけでも確認してください。

つまり、これまでの実績が豊富に公開されているのもこの事業の特長の一つです。応募の適否を検討する材料としても、応募する際の申請書作成の参考としてもこれを活用しないのはもったいないことです。

関連するキーワードが殆ど各事業のタイトルに示されていることが多いため、実績紹介で個別の技術分野を確認するのは比較的容易です。現在は2019年の第103回から2021年の第108回までの採択企業45社の事例が公開されています。

さらに、上記を含めて過去16年間の採択事業について、社名と事業タイトルをリストアップしたPDF資料も別に用意されているため、例えば自社の技術分野と重なるキーワードで検索すれば採択件数の多寡が確認できます。

試しに「半導体」「レーザー」「マイクロ波」で検索してみると各々10件、6件、4件でした。

この事業は今年も例年通り年間2回の公募が行われる予定であり、前述の通り現在は4月20日締切の公募が行われています。今回あえてこの時期ご案したのは3月2日にWebによる説明会が行われるためです。

説明会の申込は3月1日まで可能とされていますが、90名の上限があるため、応募を検討されている方は是非早めに申し込まれるようお勧めします。

本記事は2022/02/21時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

紅梅の満を持したる蕾かな (下村 梅子)

桜と梅の一番の違いは、一斉に開花する桜と各々の木が自身のタイミングで蕾を開く点かと思っているので、掲句は梅林の複数の紅梅の木ではなく、例えば街角の一本を思い浮かべます。寒気のなかでの凛とした風情が良いですね。