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中小含む連携体による医療機器の製品化を支援

2022/12/12

AMEDによる「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)」(以降、「開発・事業化事業」)の予告が公開されました。・・・前回も読んでいただいた方は「二重配信?」と思われたかもしれませんが、今回はお尻に「ベンチャー育成」がついておりません。

医療機器の開発である点は共通ですが、実は「ベンチャー育成」のあるなしでほとんど別の事業と言っても良いくらい内容が異なるので、改めて「開発・事業化事業」をご案内します。ただし、前回同様現在は予告期間なので公募要領に基づく詳細は公開後に再度お伝えします。

「医工連携イノベーション推進事業」は公募対象が異なる複数の事業の集合体ですが、今回の「開発・事業化事業」は、開発された医療機器を、保険点数が付与された製品として確実に世に出す(上市)ことを目的とした事業となっています。

したがって、応募は最低でも製品化に不可欠な以下の3つの機能を有する機関の共同体であることが求められています。

1)中小企業
共同体の中で医療機器の開発・改良の本質的な部分を担うことができるものづくり中小企業

2)製造販売業を有する企業

開発対象となる医療機器に対応した医療機器製造販売許可を取得している企業

3)医療機関
開発する医療機器について、臨床評価や有効性評価を行うことができる医療機関

なお、1)および2)は兼任が可能なので、共同体の機関の最低数は2ということになります。また1)~3)以外に、さらにものづくり企業などが参加する場合は中小企業である必要はありません。

加えて、必須ではありませんが、開発医療機器に対するユーザビリティー評価や上市・販売促進に協力する「関連学会」や「アドバイザー」の参加が推奨されています。

また、事業の建付けとして、補助率2/3の補助事業である点も重要な点です。最終的には共同体の中の製造・販売を担う民間企業が新製品の出荷で利益を得るための開発をAMEDが補助するとの位置付けであるため、1/3は自己負担ということです。

また、企業が支払う税金を、税金が財源である補助金では補填できないため、研究開発に伴う補助対象経費として消費税は除外されます。

もう一つ、この事業の特徴と言えるのは、最長3年の開発期間中に、臨床試験や治験を行う場合、その年度の研究開発費が増額されるという仕組みです。前回までの研究開発費総額の例だと、クラスIII、IVの場合、6,000万円が1億1,500万円となり、2倍近い額への増額でした。

臨床試験とは開発医療機器の安全性と有効性を人への実際の治療で確認して評価することであり、治験とは臨床試験の内医療機器としての認可取得を目的とした、より規格の厳しい人への治療ですが、いずれの場合も保険適用前での治療となるため、全額患者負担となります。

当然、その費用は開発医療機器の認可取得を目的とするメーカー側が全額肩代わりしないと患者さんに臨床試験の対象となってもらえないので、これらの治療をする場合は研究開発費の増額を認めるとのことです。

この事業についても、実際の応募に必要な詳細情報は公募要領公開後の続編でお伝えしますが、応募を検討される方は、まず昨年度の公募要領などの資料を参照して、事業実施体制や治験戦略など大きな部分の構想について検討を始めてください。

本記事は2022/12/12時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

山茶花は咲く花よりも散っている (細見 綾子)

山茶花は見慣れた花なので近所の庭先で咲き始めても、あまり目を引きませんが、赤や白の花弁が散って根元の土に広がると、途端に目立ちます。俳人とはよくよくものを見ている人のことなのでしょう。