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公募前検討開始のお勧め、医工連携ベンチャー育成事業

2022/11/28

AMEDによる「医工連携イノベーション推進事業(開発・事業化事業)ベンチャー育成」(以降、「ベンチャー育成事業」)の予告が公開されました。事業名の後半が示す通り、医療機器ベンチャーの育成を目的とした開発・事業化を支援する事業です。

現在は予告期間であり公募要領が公開されていないので、この記事は昨年度の公募情報に基づく概要のみを先行してお知らせすることとし、正式に公募が始まった時点で公募要領に基づき再度詳細をお伝えします。

2回に分けた理由は、この事業で提供される開発費上限額が2年間の総額で5,000万円を超す金額で、申請書の作成もかなり重量級であるにも関わらず、公募期間が短く(昨年の実績では約1か月)、応募を目指す方には早めに準備に取り掛かっていただきたいと考えたためです。

因みに「医工連携イノベーション推進事業」自体は今や公募対象が異なる複数の事業の集合体となっており、今後順次公募が行われますが、設立5年未満の民間ベンチャーのみが対象となっているのは今回の事業のみです。

というわけで、今回はベンチャー育成事業の基本的な共通部分を中心に解説します。

最初の特長は、この事業がAMEDが全額負担する委託事業である点です。通常「事業化」が目的に含まれる支援事業は、開発費の一部が自己負担となる補助金が一般的なので、これは珍しい例かと思います。

補助金では税金を補填することができないことから消費税への補助はありませんが、委託事業は、本来政府が行う研究開発等を民間に「委託」するとの位置付けであることから、消費税も政府(今回はAMED)の負担となります。

次に、すでに書きましたが、公募資格者をほぼ「設立5年未満の医療機器の事業化を目指す民間企業の研究開発部門、研究所」に限定している点です。

公募要領の「事業目的」に示された文言通り、「事業終了後に採択企業がベンチャーキャピタルや公的資金の導入の可能性がもてるように医療機器スタートアップとしての形が整うこと」を目的としているのです。

同じく「事業実施体制」では、「優れた成果を生み出していくための円滑な実施を図るため、プログラムスーパーバイザー(PS)及びプログラムオフィサー(PO)を配置し」「PS、POは本事業全体の進捗状況を把握し、事業の円滑な推進のため、必要な指導・助言等を行う」とされています。

一般的な補助事業のように経費の証憑確認だけではなく、事業期間である2年間でベンチャーキャピタル等と渡り合える一人前の企業に育てることを目指しており、これが事業名の中に「育成」とあるゆえんです。

実際の応募に必要な詳細情報については公募要領公開後の続編でお伝えしますが、応募を検討される方は、まず昨年度の公募要領などの資料を参照して、事業実施体制や出口戦略など大きな部分の構想について検討を始めてください。

本記事は2022/11/28時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。

季節の俳句

初霜や物干竿の節の上 (永井 荷風)

反骨者の荷風が物干竿に顔を寄せて初霜を確認したときの、子供のような喜びがわかる気がします。季節がしっかりと廻っていることを実感した時の安心感とでもいうのでしょうか。実はまだ初霜を見ていないのですが、それに出会える冷えた朝は間もなくでしょう。