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M&A、売り手側のポイント
2024/08/28
コンサルタントの田邊です。今回は補助金ではなく、このところ何かと話題のM&Aについて解説します。
経営者の高齢化とM&A
M&Aは「身売り」「大企業同士の話」のイメージがひと昔前までありましたが、現在は中小企業同士でも活発に進んでいます。その理由として、中小企業における経営者の高齢化が進んでいることが挙げられます。
少し古いデータですが、2019年に中小企業庁が「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」を公開しています。これによると、2025年には中小企業・小規模事業者の経営者の64%に当たる約245万人が平均引退年齢の70歳を超えるとのこと。そして、その約半数の127万人の経営者は後継者が決まっていない状態にあるというのです。
この「事業承継問題」を解決するためには、第三者への承継がカギとなっており、今後も増加する見込みです。
そこで今回は、売り手(譲渡側)のM&Aを行う上でのポイントをまとめました。
M&A、「譲渡側」のポイント
譲渡側のM&Aは大きく分けて以下の4つの段階を経て進められます。- M&Aの検討と事前準備
- 買い手(譲受企業)とのマッチングと交渉
- 最終契約
- クロージング
それでは項目ごとに解説しましょう。
1. M&Aの検討と事前準備
事前準備段階で行う内容は、以下の通りです。- 自社の分析
- M&Aの初期的な相談
- アドバイザリー契約
自社の評価額を算出し、譲渡価格の目安を設定しておきましょう。
さらに、SWOT分析を行い、自社の強みや弱みを明確にします。譲受側にとってどのような価値を持つかを知っておくことは、交渉の時に役に立ちます。
自社の分析をした後、M&Aの専門家に企業売却に関する相談を行いましょう。
M&Aを進めていく上で、自社に合ったアドバイザリー契約を結ぶことは非常に重要です。手数料に関してもアドバイザーごとに異なるため、手数料の算出根拠の確認もしっかりと行いましょう。
全国的に展開をしている、または経験が豊富で全国の強い譲受企業の情報を持っているアドバイザーに依頼すると、良い譲受企業の紹介や、スピード感のあるクロージングの可能性が高くなります。
2. 譲受企業とのマッチングと交渉
マッチングと交渉の段階で行う内容は、以下の通りです。- 候補企業の選定
- 経営者同士のトップ面談
- 条件交渉
- 基本条件の合意
- デューディリジェンス
アドバイザーと打合せを重ね、ノンネームシート(譲渡側の企業が特定されないような簡易的な情報を記載した資料)を作成します。
次に、自社の情報開示を許可する譲受候補先リストを作成します。アドバイザーは譲受候補先に情報を伝えます。そこで関心があれば、まずは譲受候補が「意向表明書」を提出します。
意向表明書は、譲受候補が譲渡企業に対してM&Aを行う意思があることを示すものです。ここには具体的な取引条件やスケジュールなどが記載されています。相手側の譲受企業が自社のどこを見てM&Aを検討しているのか、どのように価格の算定をしているか確認しましょう。
その後、経営者同士のトップ面談を行い、両社で基本合意を締結、デューディリジェンスを実施し、M&Aを進めていきます。
トップ面談は初めての顔合わせです。具体的な価格の交渉などはこの場で絶対にしてはいけません。意向表明書に記載していますが、相手企業になぜ自社に興味を持ったか、一緒になった後どのように事業を拡大していきたいか等を改めて確認する会にしましょう。
3. 最終契約
譲受候補との交渉が進み、最終的な取引条件が決まったら、最終契約を締結します。最終契約書には、取引価格や支払い方法、取引後の体制など、具体的な取引内容が詳細に記載されます。
一番大事な局面です。
過去に聞いた最悪の話では、クロージング後、株主が変わったにもかかわらず、銀行の融資でオーナーの個人保証が外されないという事例がありました。経験豊富なアドバイザーと相談しながら、不利な契約がないか確認していきましょう。
4. クロージング
最終契約が締結されると、いよいよクロージングです。M&Aにおけるクロージングとは、法的にM&Aが有効となり、会社の経営が完全に移行することを指します。
クロージングに必要な書類を準備し、譲受側から譲渡代金を振込されるとクロージングです。
大まかな流れを記載いたしましたが、いかがでしょうか。
M&Aは企業同士の結婚とたとえられ、クロージング後に承継がスタートします。従業員への公開はクロージング後が一般的です。この際、説明を丁寧に行い、承継を進めていくことがとても重要です。
さて、M&Aではアドバイザーへ支払う手数料のための補助金もあります。ご検討の経営者のみなさんは、このような制度もうまく活用することをお勧めします。
(参考:事業承継・引継ぎ補助金)
本記事は2024/08/28時点での情報です。状況は刻々と変化しますので、必ずその時点での最新情報をご確認ください。
コンサルタントのひとりごと
夏の風物詩高校野球選手権大会が終わりましたね。
バットの規格が変わって「飛ばないバット」になったのもあり、今大会は投手戦が多かったような気がします。
中には金属ではなく木製のバットを使っている選手もいました。
私はバットの芯に当てるのが得意ではなかったので、現役の時に私が木製バット使うと何本折っちゃうのだろうと考えて(調べてみると安くても1本1万円以上はしていました)、ゾッとしました。
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